昨年から個人的にハマっている、メバルタックルを流用した、春のバチ抜けシーバス。「LTシーバス」が、このところ、かんばしくない。ボラやメバルは食うのだが、なぜ……？と考えていると、これらの魚の力と群れの大きさに、関係があるのではないかと気付いた。その考察をここで述べたい。全国のアングラーのみなさんも参考にしてほしい。
（アイキャッチ画像提供：TSURINEWSライター井上海生）
バチを食す魚たち
バチ抜けには、主に次のような魚が着く。シーバス、チヌ、ボラ、メバル、アジだ。魚の強さや影響力から考えて、バチ抜けパターンの頂点に立つのは間違いなくシーバスだろう。
居着きの大型魚なので、他の居着きと比べても、海中で幅を利かせているはずだ。その次にチヌ、ボラというところか。ただチヌは個体数が多い海に限定される。通常ボラの方がどこでも大きな群れを作って行動するので、実質はボラだろう。ここまでをまとめると、バチに着く大型魚の強さでは、シーバス→ボラ→チヌとなる。
小型魚はメバル優先か
メバルはアジとの混泳を嫌がる魚のようだ。アジが多い海では、同居するメバルは極度に壁ピタになる。アジの活性によっては食ってこないタイミングもある。アジが高活性ならばバチ抜けのメバルは釣りにくい。レンジがシビアで定まらない、との印象を筆者は受ける。しかし、魚としての強さならば、確実にメバルが上である。
根魚はある程度自分の身を危険に晒してもベイトを追う強心臓の持ち主で、アジが多少いるくらいならば、バチ抜け時でもメバルが優先して食ってくる。というか、もともと、バチ抜けのアジはちょっと攻略しにくいという理由もある。
一番にシーバスが食ってくるはずだが（提供：TSURINEWSライター井上海生）回遊ムラもあれば、卵持ちは気分屋で、的確な釣り方がないのだ。また、アジはシーバス・チヌ・ボラのベイトになるので、特にシーバスが多いエリアには入りたがらない。捕食のスイッチが誤って自分に向けられると、群れが壊滅してしまう。
バチを食す順番
よって、バチ抜け時、どの魚が優先してバチの飽食を得るかという順番をまとめると、シーバス→ボラ→チヌ→メバル→アジということになる。基本的に、この順番の方が釣れやすいはず、なのだ。
厄介なボラ優勢パターン
しかし、次に問題となるのが、「個体数」である。シーバスは群れを作って行動するが、特に湾奥のタイリクスズキのほとんどは居着きの魚で、その場に留まって、あまり群れの個体数が増えない。一方で、海のあっちこっちを泳ぎ回って、壮大な群れを作るのがボラだ。みなさんも夜の海を照らして、海中がすべてボラという、なんというかイヤーな光景を見たことがあるはず。しかもまあまあ食ってくる。
ボラくん……こなくていいのに（提供：TSURINEWSライター井上海生）またボラはそもそも無神経な魚で、実際自分より獰猛で怖いはずのシーバスにもビビる感じがしない。ハクというボラの子どもはシーバスのベイトになるが、そんなことは成長して大きくなったら忘れてしまうようだ。よって、ボラの数が圧倒的に優勢な海では、困ったことに、春のシーバスの風物詩といえるバチ抜けパターンでも、ボラが先に食ってしまうのである。本当に厄介なヤツである。
シーバスはピンポイントで打つ
そんなボラ優勢の海、あるいはキワに通してもメバルが食ってくる海で、どのようにシーバスを捻り出すかを考えてみよう。――とはいえ私もこの釣りが二年目なので、実績の伴う言論ではない。ただシーバスの特性を考えれば、現実的に考えることはできる。
ストラクチャー着きを狙う
いかに空気の読めないボラくんでも、まさかストラクチャー着きの大きなシーバスを怒らせるようなことはしないだろう。堤防の障害物には、でかいシーバスがつく。少しレンジが入ったところで、壁ピタに寄せるほど、大型が来やすい。沈むバチ抜けルアーがあれば反応する可能性が高い。ただメバル用でその手のルアーを、私はまだ見たことがないのだが。
捕食音を聞き分けて狙う
シーバスの捕食音には特徴がある。エラ洗いするときのような、あの「バシャバシャ」という音だ。この音が頻発し始めると、シーバスがボラを蹴散らして優先的にボラを食い出したサインと読める。このタイミングではボラも臆してシーバスの捕食を邪魔しないはずだ。
ダメならメバルに切り替えよう
バチに着いたこの時期の釣り物は多数いる。アジも大型が狙えるし、何より堤防際のメバルの反応がいい。一通りシーバスを打って、ダメならメバルを打てばいいだろう。シーバスには秋のパターンもあれば、来年もある。そのとき釣れる魚を優先的に打つのが賢そうだ。
早めにメバルに切り替えよう（提供：TSURINEWSライター井上海生）
＜井上海生／TSURINEWSライター＞
