あまり知られていないが、実は秋も大型狙いの好シーズン。とくに千葉県君津市にある亀山湖は、これから初冬にかけて盛期にも負けないほどの釣りができる。ただし難易度は高い。日ごとに下がる水温、ひと雨降ると途端に居場所を変える魚たち。これらをどう攻略するかも秋の釣りの醍醐味。清々しい空気を吸いつつ魚との知恵比べを楽しもう。
亀山湖の概況
9月28日の実釣時で、水位はほぼ満水。水色も普通だった。しかし、30日には秋雨前線と台風24号の影響で1.6mほど一気に増水し湖水は激濁り。その後、水位を一気に下げて10月1日現在でフル満水まで戻している。
この濁りがどう影響するか。
なお台風通過前の釣況はあまりよくなかった。川面台で3枚とか、その程度。
舟宿に釣果を申告せずに帰宅してしまう人もいるので一概には言えないが、取材時の雰囲気からすると秋のシーズンインはまだ始まっていない。
亀山湖のポイント
ボートハウス松下からの出舟なら竹ヤブ、川晴ワンド、川面台、トンネル下、サッタ下などがメインポイント。
これに本湖方面なら林道下や押切沢などが加わる。
いずれにしてもモジリを探して入るのが一般的で、できれば単発ではなく複数のモジリと周辺に泡づけがあればなお理想的だ。
水位が高いと湖面に露出する立木が少なくなり、舟着けできるポイントが減る。
立木がなければ湖岸の木の枝などを利用して舟頭を縛ることになる。
そこで左右のロープを締め上げると、舟が後方に下がる。すると頭上の木がジャマになり竿振りがしづらい。
そのため全長が長いタイプの舟(14フィートが理想)をレンタルしたい。
ただし10フィート以上の舟でエレキを使用する場合は小型船舶免許が必要となるので注意したい。
ターンオーバーの季節
秋はターンオーバーの季節。亀山湖でも例外ではない。冷気で表層が冷やされると比重が増し、やがて沈む。この時、下層の水と入れ替わり、さらに下水は水質が悪く濁りが出る。「秋はタナを釣れ」の釣り格言は、各層の水温変化と濁り具合が加わると考えられる。
ターンオーバーが発生したか否かは、濁り具合で判断する。
雨が降っていないのに、急に水色が赤っぽくなった。かき回すと、いつまでも泡が消えない。数日前まではクリアだったのが、急にこのような事態になる理由はターンオーバーの可能性が高い。
この現象が釣りにもたらす影響としては濁った下層の水を魚が嫌いクリア(溶存酸素量を含む)な水質に移動する。濁りで警戒心が薄まり活性が上がる。
つまりターンオーバーイコール食い渋りとはならないのがバス釣りとは違う点だ。ただし前日までは21尺竿いっぱいで釣れていたのが、ターンオーバーして急にタナが深くなる(逆のパターンも)などはよくあること。
つまり秋はさまざまな竿の長さを準備する必要がある。できれば竿は15~25尺で最低でも2尺飛びずつ準備したい。
さらに同じ6mラインを狙うにしても、水深12mなのか8mかで状況は異なる。
魚探があれば水深や地形変化が手に取るように分かるが、できれば簡易的な水深測定器は準備しておきたい。
仮に水深10mのポイントで6mラインで釣れているのなら、移動するにしても同程度の水深の場所に入るべき。しかし測定器がないとそれもままならない。
大型は場所(水深・タナ)で釣るのが鉄則。
エサを打っていればいつかは寄るなどと旧態依然とした考えでは、いつまでたっても目的の魚にめぐり合うことはできない。アタリがなければ竿を替える。それでもダメなら移動する。
この時、広大なフィールドを手漕ぎ移動では時間を要するだけ。しかも、移動が億劫になりがち。
「エレキはバス釣りの道具」などと敬遠せず、舟宿には無免許でも乗れる舟とエレキセットがあるので便利に使わせてもらおう。
『寄せて釣る』の従来のヘラ釣りから『探して釣る』に意識改革する。そうすれば50cmオーバーゲットも夢ではなくなるはずだ。
場所とタナが決まれば残すは釣り方だ。