ホタテの身は全ての部位が食べられるワケではない 非可食部は「ウロ」

ホタテの身は全ての部位が食べられるワケではない 非可食部は「ウロ」

何気なく食べているホタテっていったいどんな部位なんでしょう?貝柱はなんとなく分かるけど、周りのオレンジ色のものは?そして、中には食べない方が良い部位も。紹介していきます。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

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その他 サカナ研究所

ホタテってどんな貝?

ホタテはイタヤガイ科の二枚貝です。

主な産地としては、青森県や北海道が有名ですが、天然ものはほとんどなく養殖ものが流通のほとんどを占めています。

ホタテという名は貝が海の中を泳ぐ時に、一方の殻を帆のように立てて泳ぐという伝説によるものと言われていますが、実際の移動方法は殻を開閉して貝の耳の横にある噴射口から海水を吹き出して移動します。

また、ホタテは殻に入った筋が扇子に似ているところから、海扇(カイセン)ともいわれています。

人が食べるのは主に貝柱

普段サカナを食べる時、私たちはサカナの筋肉を食べている訳なのですが、ホタテの場合は少しニュアンスが違います。

私たちがホタテと言っている部位は、実際には身の一部であり、貝殻同士をつなぐ「貝柱」なのです。

貝の場合は身というのは貝殻の中のすべてを表すため、内臓などすべてがこれに該当します。

アサリなんかを想像すると分かりやすいかもしれません。アサリの場合は貝柱を含むすべての部位を丸々食べているのですが、ホタテは身の中でも貝柱の部分だけを取り出して食べているのです。もちろんそのほかの部分も食べることは可能です。

ヒモはどの部位?

ヒモと呼ばれる部分は、正規には「外套膜」といい、貝類などの軟体動物に特有のものです。

背側から広がって内蔵を包んでいる筋肉質の膜で、貝の殻の石灰質を分泌しており、殻を成長させる器官になっています。

この部分はホタテの可食部となっていますが、筋肉の膜なのでやや硬いのが特徴です。

ホタテの身は全ての部位が食べられるワケではない 非可食部は「ウロ」ホタテ(出典:PhotoAC)

オレンジの部分は生殖腺

ホタテを食べる特に気になるのがオレンジ色をした三日月形の部位。食べられるのは知っていてもどんな部位なのか知らない人も多いでしょう。

実はこの部位はホタテの生殖巣と呼ばれる部位で、雌の卵巣にあたる部分なのです。雄の場合は精巣であり、色もオレンジ色ではなく乳白色になります。

また、なんとなく加熱調理していないとダメな印象がありますが、採りたての新鮮なホタテを出すようなお店では生食として提供されることもあります。

鮮度が気になる場合は、煮つけなどにして火を通すのが望ましいでしょう。

ホタテのウロは危険?

ウロは正式名称中腸線といわれており、一般的には私たちの日常の食生活では、カニ蟹味噌やイカのワタの部分などがこれに相当しています。

食品としては美味で栄養の豊富な部分でですが、二枚貝の場合には渦鞭毛藻などの有毒植物プランクトンを摂食したときに吸収された貝毒などがここに蓄積して食中毒の原因ることがあります。

その中でもホタテでは貝毒の他にカドミウムやヒ素といった重金属の濃縮が認められることがあるため、非可食部として処理されています。

ホタテの貝柱は栄養のカタマリ

ホタテ貝柱には、たんぱく質やナイアシン、カリウムが含まれます。たんぱく質はもちろん人の体に欠かせない3大栄養素の一種ですよね。また、ナイアシンは水溶性のビタミンで、ビタミンB群の仲間です。カリウムはミネラルに分類されています。

これだけでもホタテの貝柱はすごい!となりそうですが、それだけではありません。

ホタテの貝柱にはタウリンや葉酸、亜鉛など、野菜などの食品からでは多く摂取できないような栄養素を低カロリーで摂取できるといわれています。悪性貧血予防に効くビタミンB12や葉酸、味覚障害を予防する亜鉛など、体にうれしい栄養成分が含まれるホタテ。

健康をキープするための万能食材でもあるんですね。

<近藤 俊/サカナ研究所>