冬入りした12月上旬、青物狙いの目論みは外れたものの、サビキ釣りとサグリ釣りでカンダイ、サバ、良型ガシラなどの釣果に恵まれ、五目釣りでも結果オーライとなった泉佐野一文字での釣行記をお届けしたい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)
冬入りし釣り人に変化
2022年12月、盛期は過ぎたものの、大阪湾の沖防波堤からは青物の釣果情報が引き続き伝わってくる。そこでラストチャンスとばかり、泉佐野一文字への釣行を決めた。始発便に乗船できないと釣れるポイントに入れないと思い、徹夜で車を走らせ、葵渡船の駐車場に到着したのは釣行前日の深夜23時30分過ぎだった。
無人の乗船場に先客が一人一個の荷物を乗船場の並び列に整然と置いて、先着権を主張する暗黙の「荷物置きルール」は、どうなっているかと現場に向かうと、1列目の10人分余りは荷物が置かれていたが、2列目以降は空いていた。2列目の先頭に私の荷物を1個置いたことで、始発便の乗船券ならず乗船権を手にしたと一安心し、車中に戻ってしばしの仮眠をとる。
朝4時に起床し、乗船名簿に記入して乗船場に向かうと、釣り人の大半が集合していた。2列目先頭に私の全ての手荷物を集めて、4時20分からの乗船手続きに臨む。並んでいた釣り人は皆防寒ウエアに身を包んでいたが、その人数は盛期に比べると減っていた。
ルアーマンにかわってノマセ釣りの生かしバケツを用意している釣り人や、フカセ釣り、エビまき釣りメインの釣り人が複数人と、冬入りした釣り人の様子には、服装以外の様々な面でも変化が見られた。結果的に、始発便には全員が乗船できて、4時30分の定刻にスムーズに出船した。
赤灯台周りでサビキ釣りを開始
船は5分余りで波止に到着し、私は一番人気の1番の船着場で降り、ベストポイントの北端の赤灯台周りに速足で向かう。10人近くの釣り人もライバルの如しであったが、幸いな事に外向き、内向きと分かれてくれたので、私はベストポイントの灯台裏に釣り座を構えることができた。夜明け前までのサビキ釣りで、ノマセ釣りのエサとなる小アジを狙いつつ、たまに混じるデカアジも歓迎というのが今回の作戦。早速、サビキ釣りの準備にとりかかった。
なお、泉佐野一文字の形状と船着場などは略図のとおりだが、詳しい解説は、以前の投稿「大阪湾の沖波止紹介:岸和田&泉佐野一文字 都市近郊でアクセス良好」をご覧いただきたい。
また、乗船手続きやライフジャケット規格に関する主な注意事項などは、葵渡船のホームページの「お知らせ」に掲載されているので事前に確認しておいてほしい。
サオ下サビキ釣りでサバ2匹とガシラ
サビキ釣りのタックルは磯ザオ5号5.4mにミチイト5号を巻いた両軸リールをセットし、まきエサカゴはサビキの上下それぞれに付けるダブル方式とし、上カゴとサビキの間にクッションゴムを介する。サビキはデカアジの到来を期待して、フラッシュ仕様のサバ皮のハリ7号、ミキイト7号、ハリス4号の太仕掛け。
さらに私は一工夫ならぬ二工夫を施す。夜明けまでの集魚効果を狙って、クッションゴムの上にケミホタルブルー50を付けたほか、サビキバリのうち3本だけアクセントとして、冷蔵の小魚エサのハゼコを付ける。こうした工夫で釣果が得られる可能性は高まるのは、過去に経験済みだ。
波止際は水深が5m足らずの浅い波止なので、タナは底ギリギリからを切るイメージだが、寒い中アタリは少ないので、置きザオにしてアタリを待つ。すると、内向きで釣っていた人が小アジを釣り上げた。私も気合いを入れてアミエビを詰め替えて待つと、小さなアタリが竿先を揺らし、上げてみると小アジが掛かっていた。
これでノマセ釣りができると思いきや、残念ながらこの小アジはすぐに弱ってしまい、やむなく釣果としてクーラーの中に入れる。後続のアタリがなく、しばし沈黙の時が流れたが、突然大きく竿先が海面に突っ込もうとした。デカアジか?と色めき立ったが、強い引きを見せた魚の正体は30cm級のサバ。大サバまではいかないものの、丸々とした魚体を見てニンマリし、首を折って〆てから、海水バケツに入れて血抜きをする。
この後、夜が明けるまでに、ほぼ同サイズのサバとガシラを追釣した。ケミホタルブルーとハゼコが望外の釣果に結び付いたようだ。
内向きの釣り人が良型ヒラメを捕獲
日が昇り始めた時点で小アジが確保できず、ノマセ釣りは断念。満潮が8時20分ごろで波風も穏やかと、釣れそうなコンディションと思いきや、周りを見渡しても、ルアーマンもノマセ釣りの釣り人も、誰も獲物を手にしていない。シーズンオフの到来を実感したが、ほどなくして盛期とは別のターゲットが登場した。
7時過ぎ、赤灯台内側で「きたあっ!」と雄叫びを上げた釣り人がロッドをブチ曲げた。腕だけでなく上半身を使ったロッドワークに、周りの釣り人も色めき立つ。タモ網を手にした助っ人も現れて成り行きを見守っていると、「うわわーっ」と別の釣り人から声があがり、海面でバシャつく音も聞こえてきた。
大捕り物となったその訳は、獲物の正体が答えを教えてくれた。興奮気味の釣り人が手にしたのは、良型・肉厚の見事なヒラメだった。ノマセ釣りも、冬の到来とともに、スパイクオモリを使って活きエサの小アジを海底に沈める「沈め釣り」にシフトしていて、かの釣り人は海底から見事に金脈を掘り当てたということだ。