11月15日(火)、『東京湾遊漁船業協同組合(飯島正宏理事長)』で放流魚の追跡調査および羽田周辺海域の生態調査が行われた。編集部が取材した当日の模様をリポートする。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS編集部)
東京湾遊漁船業協同組合の放流事業
同組合では、毎年カサゴやメバルの稚魚を羽田沖浅場周辺の海域に放流。今年も9月にカサゴの稚魚2万5000尾を放流し、11月8日にはメバルの稚魚1万3000尾の放流を実施している。
こうした放流魚の生育状況は、毎年追跡調査されている。稚魚の約1割には、毎年色を変え、番記されたタグを付けて放流。タグ付きの放流魚が採捕されれば、生育状況に関する正確なデータが拾えるが、実際にはタグ付きの放流魚が釣れる確率は高くない。そこで追跡調査では、こうした放流魚のほか放流海域周辺でどんな魚が釣れるのか、東京湾奥の生態調査も兼ねている。
遊漁船の船長が実釣
当日はあいにく気温が急に下がり、朝から冷たい雨が降り続くなかでの生態調査となった。8時すぎ、大森のまる八桟橋から釣り船2艘に組合員などが分乗して出船。羽田沖浅場へ向かった。釣り人は、普段は釣り船を操船する船長たち。釣り方は、メバル用の胴突き仕掛けにエサはモエビ。
水深数mの羽田空港岸壁の際で竿を出すと、さっそく釣れたのはカサゴ。調査なので周辺海域を転々と移動しながらの釣り。食いの悪い場所もあったが、全体としてはまずまずの釣果。
調査結果
2艘で大小200尾近くという昨年のような数釣りにはならなかったが、3時間ほどの釣りで67尾の釣果。型は、放流したばかりと思われる10cm前後の稚魚から23cm級の良型も。環境の改善もあるだろうが、カサゴについては毎年放流を続けてきた成果が出ていると言ってもよさそうだ。
一方、もうひとつの放流魚のメバルについては、2艘で3尾と釣果は伸びなかった。3尾とも22cm級と型は悪くないため、生育できないわけではないものの、海草の生育など生息環境はまだまだ整っていないのかもしれない。また、ウミウやシーバスなどの天敵が増えていることも影響しているように思える。
その他の釣果
ほかにアジ、フッコ、クロダイなどが釣れ、キジハタの幼魚も2尾上がった。一方、昨年多かったベラ(キューセン)は1尾も釣れなかった。
今回は前年よりも少し釣果が落ちた。ただ、当日は天候が悪く、水温が下がった影響もあったかもしれない。
同組合では、今後も放流や清掃など、地道な努力を続け「東京湾を守り、育てていくことができれば」としている。
<TSURINEWS編集部>