『珍魚』を狙う釣り大会が開催 温暖化で各地で増える「新顔」も珍魚?

『珍魚』を狙う釣り大会が開催 温暖化で各地で増える「新顔」も珍魚?

いま、全国で「見慣れぬ魚」が次々と見つかったり、漁獲されるようになっています。一体何が起こっているのでしょうか。

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サカナ研究所 その他

原因は温暖化

このような各地の「新顔魚」について、東北大学などのチームが興味深い研究結果を発表しています。この研究は、全国各地で海水のサンプルを採取し、そこに含まれる魚たちのDNA情報を抽出するというもので、これを分析してどの海域にどんな魚が分布しているのかをデータベース化しています。

そこで得られたデータをもとに、日本を地域ごとに細分化し、ある魚のDNAが検出された地点が多い地域と、少ない地域のバランスをとって平均化したポイントをその魚の「重心」と規定。「重心」の位置がここ数年でどの方向にどれくらい移動したかを調べたのです。

『珍魚』を狙う釣り大会が開催 温暖化で各地で増える「新顔」も珍魚?生息域が明確に北上している魚介類は多い(提供:PhotoAC)

その結果、調査した魚種の6割近くが北にその「重心」を移動していたことが判明したそう。その原因はやはり「海洋温暖化」で、海水温の上昇でもともとの分布域が生息に適さなくなり、北に移動したとみられています。ちなみにいくつか南に移動した魚もいましたが、それは他の魚の生息域が北上した結果南に追いやられたと考えられるそうです。

前記したブリやシイラ、カワハギなどの新顔魚たちも、基本的にはもともとの生息域より北で新たに見られるようになったもの。各地で「珍魚」と呼ばれている魚たちの多くは、海水温の上昇によってやむなく新天地を目指したものなのかもしれません。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>