有毒で知られるクサフグは誰にも食べられないと思われてきましたが、実はウツボはクサフグを捕食しているようです。調べてみました。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
クサフグとは
釣り人なら誰しもが知っているフグ目フグ科のサカナです。北海道から沖縄県までの日本全国の海に生息しており、エサ取りとしても広く知られています。
ふわふわと泳ぐ様子は非常に可愛く、観賞魚として水槽で飼育する人もいます。
しかし可愛い見た目とは裏腹に体内には猛毒を持っており、食用することができないフグとされています。
ウツボとは
関東以南の暖かい海に生息しているウナギ目ウツボ科のサカナです。黄色いトラ柄の模様と、凶悪そうな顔、そして釣り上げると手に負えないなどのことからから「海のギャング」と呼ばれています。
毒々しい色をしていることから毒を持っていると思われがちですが、ウツボは無毒です。(ウツボ類の中には有毒のものいる)
あまり食べるイメージは湧きにくいですが、一部の地域では食用とされており、最近ではむしろ美味しいサカナとしても認知され始めています。
クサフグが持つ毒
クサフグが持つ毒は猛毒でその名も「テトロドトキシン」と言います。
フグの肝臓や卵巣などの内臓、種類によっては皮、筋肉にも含まれており、何より恐ろしいのが、通常の加熱では壊れないという事です。
その強さは、よくミステリードラマでも用いられる「青酸カリ」の1,000倍以上ともいわれ、10g食べると致死量になります。
もし体内に入ったら?
体内に入れる量にもよりますが、致死量のフグ毒が体内に入ってしまった場合、一般的には食後20分から3時間で、口唇、舌端、指先のしびれが始まり、頭痛、腹痛などを伴い、激しい嘔吐が続きます。
また、歩行は千鳥足となり、知覚マヒ、言語障害、呼吸困難、血圧の低下が発生します。その後、全身が完全な運動マヒになり、指さえ動かすことができなくなります。
意識はしばらくあるものの、意識消失後まもなく呼吸・心臓が停止し、死にいたります。
文章を読んだだけでも、フグ毒がどれほど怖いものなのかが理解して頂けたかと思います。
ウツボにはフグ毒が効かない?
クサフグは産卵の際、岸際ギリギリに数万匹にもなる群れでやってきて産卵することが知られています。近年、このクサフグの産卵の場をウツボがむしろ格好の狩り場とし、何匹ものクサフグを捕食していることが判明しました。
ウツボはクサフグを食べても上記のような症状は出ず、なんでもない顔でお腹を満たしてその場を去ったというのです。
この事実から、ウツボがフグ毒に対して抗体を持っているのではないかと研究が始まっています。
現段階では、ウツボに直接フグ毒を注入するとウツボは死んでしまい、捕食では死ぬことはないと判明しているそうです。