水族館の人気者であるイルカですが、我が国にはイルカ食文化も残っています。地域によってはポピュラーな食材で食べたことがある人も少なくないと思いますが、中にはほとんどの人が食べたことないだろうと思われる非常に希少な部位も存在します。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
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イルカの鰭「すまし」
さて、基本的にイルカの部位で食用にされるのは、筋肉と腸などの内臓の一部くらいです。しかし、静岡のごく限られた地域ではイルカの「鰭(ひれ)」を食べる文化があります。
伊豆を中心に静岡の広い範囲でイルカ食文化は残っているのですが、鰭を食べるのは県内でも静岡市清水区蒲原周辺のごく一部です。商品としてはなぜか「すまし」と呼ばれています。
![太地のイルカ漁がスタート イルカの「鰭(ひれ)」は究極の珍味?](https://tsurinews.jp/data/wp-content/uploads/2022/09/20220914iruka02.jpg)
このすましは、茹でたイルカの鰭を薄くスライスし、塩漬けにしたもの。そのまま食べるとまるでゴムのような弾力と強い獣臭があり、食べる人を選びます。しかしさっと炙って食べると、脂がはぜて香ばしくなり、食感も良くなります。また個人的には「味噌汁」に入れると、風味も緩和され、汁にもコクが出て最も美味しく食べられると思っています。
絶滅寸前の珍味である「イルカのすまし」、チャンスがあればぜひ食べてみてほしいものです。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>