部位によって味や食感が異なるクジラ。今回はクジラの消費量が日本一の長崎県にある日野商店さんに「クジラのオススメの部位」を聞いてみました。
(アイキャッチ画像提供:日野商店)
クジラの「部位」は豊富!
普段の食卓でクジラ料理は滅多に出てこないので、あまりスポットを浴びないかもしれません。しかし、実は色んな魅力が詰まった食材なんです。
一般的に「珍食材」としてのイメージが強いクジラですが、牛、豚、鶏などと同様に、様々な「部位」があります。例えば、代表的な部位には「舌」「背肉」「むね肉」など、焼肉屋でよく目にする部位がありますが、クジラならではの部位&呼び名も存在しています。
部位ごとに特徴がある
また、クジラの部位ごとに特徴があるのも面白いところだと思います。
味・食感が異なる
牛タンであれば「コリコリ」、霜降り肉なら「柔らかジューシー」といったように、クジラも部位によって味が大きく変わってきます。脂が多い、食感がコリコリと面白い、牛や豚とは異なる独特の味などなど、その特徴も様々。
日本ではミンククジラ、イワシクジラ、ニタリクジラの3種類が主に食用として流通しており、同じ部位でもそれぞれのクジラで味や食感が異なるので、「ハマると深い」食材でもあります。
食材以外にも利用される
また、クジラの部位は食材としてだけでなく、加工品としても利用されています。例えば、「クジラの髭(ひげ)」は、一部の釣竿の先端部にも利用されているそう。日常生活の意外なところに「クジラの部位」は潜んでいるのです。
オススメの部位3選
とはいえ、クジラを実際に食べてみないと、その違いや特徴は分かりませんよね。そんな「クジラビギナー」の方のため、クジラに誰よりも詳しい加工業者「日野商店」さんにオススメの部位を3つ聞いてみました!
百畳(ひゃくじょう)
まず1つ目が、クジラの「胃袋」である百畳(ひゃくじょう)。
しつこくない脂肪分、噛むとじわりと出る甘みが特徴で、特にツウの人に人気の部位とのこと。脂が少ないクジラの部位の中でも、比較的多くの脂質を含んでいるようですが、その脂はあっさりとした味わいだそうです。スライスし、ポン酢などをつけて食べるのがオススメ。
「百畳」の名前の由来は、「クジラの胃袋はとても大きく、畳が百畳もあるぐらい」という例えからきています。
百尋(ひゃくひろ)
2つ目が、クジラの「小腸」である百尋(ひゃくひろ)。
内臓なのでクセがありそうに感じますが、丁寧に加工しているので臭みは無く、食感はコリコリとしているそう。特に長崎県で加工されたものは、「他県とは一味違う」と好評。醤油につけて刺身で食べるのがオススメ。
クジラの小腸はとても長いことから「百尋(尋は長さの単位)」と呼ばれ、長崎では縁起物として、お正月やおめでたい席に出されます。
畝須(うねす)
3つ目が、畝須(うねす)と呼ばれるクジラの下あごから腹部にかけての柔らかい部分。畝須を加工したものは2種類あるとのこと。
畝須の一番柔らかいものだけを水煮して、炊き上げたものを「すえひろ」と呼ぶそう。長崎出身の筆者も、正月などに食べていた部位ですが、イチオシ級に旨い部位です。
「すえひろ」は脂っこくなく、モチモチとした食感。また、あっさりとしていることから酢味噌などにもベストマッチ。もちろんポン酢などでも美味しくいただけます。名前のごとく「末広がり」の縁起物として、長崎ではおめでたい席で食されます。
畝須(うねす)を加工したものがもう1つあります。それが、「ベーコン」です。
畝須を塩蔵熟成したベーコン。余分な水分を落とし、クジラの旨味を十分に引き出すことで、風味豊かな味わいとなるそう。ちなみに、ベーコンも筆者は良く食べていたクジラの部位です。塩分を含むので食べ過ぎ注意ですが、お酒のツマミとしては最高クラス。夏にはビールのお供にオススメです!
すえひろと同様、長崎ではおめでたい席で食されます。
クジラ料理ご賞味あれ
今回はクジラの専門加工業者「日野商店」さんに聞いた、オススメの部位を3つ紹介しました。どの部位もそれぞれ魅力があって面白いですよね。
あまり普段の食卓に並ぶ機会がないクジラですが、新型コロナで家にいることが多い昨今、ちょっとした「家でのお楽しみ」として食べてみるのもオススメです!
案外病みつきになってしまう、魅力的な味ですよ。
取材協力:株式会社 日野商店
<田口/TSURINEWS編集部>