身近な海で見つけることができるクロダイ。簡単に目視できても、警戒心が強くて釣るのは実は大変。そんなクロダイの警戒心を攻略する重要な要素が「濁り」です。今回は、「釣れる」濁りの見極め方を解説します。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター杉本隼一)
クロダイ釣りにおける「濁り」
岸壁や堤防の際を覗くと、時折大きなクロダイが水面近くで貝やフジツボをついばんでいる様子が見られますが、こちらの気配を察すると一目散に逃げ去るかその場を離れる魚がほとんどです。潮間帯や浅い場所はエサが豊富であると同時に、人間や鳥などの外敵に狙われやすい危険な場所でもあり食事が目的とはいえ周囲への警戒は怠りません。特に、日頃から人が多い場所に住むクロダイは警戒心が強く簡単には口を使わず、難しい釣りを余儀なくされます。
そんな警戒心の高いクロダイの攻略に欠かせない要素が「濁り」です。濁りが入るとクロダイから釣り人の姿や影が見えにくくなり存在を悟られにくくなります。人間の感覚で例えるのであれば、霧が掛かって遠くのものや周囲の様子が見えにくい状態と表現すれば分かりやすいはず。濁りはクロダイ以外の魚種でも食いや活性を左右する重要な要素になるので、水の色を観察する習慣をつけて釣果アップに結びつけましょう。
良い濁りと悪い濁り?
ところで、海の濁りには釣果アップに繋がる「良い濁り」と悪影響をもたらす「悪い濁り」があるのはご存知でしょうか。海に濁りが発生する原因は様々で複数の要因が複雑に作用していますが、良い濁りか悪い濁りかは色でおおよその判断ができます。
クロダイ釣りで好都合な「良い濁り」は緑かかった青色または茶色の薄濁りです。次の項目で詳しく解説しますが、これらの濁りはプランクトンが原因で発生します。あまりに濁りすぎてしまうと溶存酸素量の減少や赤潮の原因になってしまいますが、適度な濁りは落とし込み釣りのように近距離を狙う釣りでは欠かせません。
濁りの種類と見極め方
では、実際の濁りの種類と見極め方を紹介します。
富栄養化による濁り
先述の通り、プランクトンの発生により水中の富栄養化が進むと発生します。植物プランクトン由来の緑がかったような色や茶色の濁りが特徴で、適度な濁りは警戒心の軽減と魚の活性が上がりやすい環境を作り出します。
水温が上昇する5月上旬ごろから発生しやすく、潮の緩い場所や湾状の場所では長期間に渡って濁りが発生することも。一方で、急激に水温が上昇して大量のプランクトンが発生すると水中の酸素量減少や魚に悪影響を与える場合や赤潮を引き起こすことがあります。
流入した淡水による濁り
大雨が降った後や付近に河口がある場所で発生しやすい濁りで、白っぽい色が特徴です。大雨の後は泥と混じって茶色の濁りが発生しますが、1で紹介した濁りとは異なりカフェオレのような色なので簡単に見分けられます。比重が軽い淡水が表層付近に溜まる水潮を引き起こし、水温や塩分濃度の低下でクロダイのタナが下がりやすくなりますが、濁りの層よりも深いタナを狙えば十分チャンスがあります。
舞い上がった砂や泥の濁り
うねりが入った後や浚渫工事の影響で発生しやすく、底荒れとも表現されます。底付近や局所的に強い濁りが発生していたら底荒れによる濁りの可能性が高いです。水中が落ち着かない状態ではクロダイが安全な場所に移動してしまいせっかく一級ポイントで竿を出しても魚が抜けて不在…なんてことも。濁りの中でもマイナス要素が強い「悪い濁り」の1つです。
また、見える範囲で浚渫船が作業していると作業で発生した濁りが水面でも確認できることも。浚渫船のシルエットは特徴的なので頭の片隅に入れておくと底荒れの可能性を予測できます。
<杉本隼一/TSURINEWSライター>