今年の東海地方の梅雨は、なんと13日間と記録的に早い梅雨明けの発表となりましたが、翌週には台風の影響で雨の日が続き「戻り梅雨」の様相でした。しかし、その後は一変し、暑い夏が続いています。これだけ暑い日が続くと釣行するのも大変なシーズンとなりますがクロダイは超元気。そこで、今回から素材工房テスター2人による実釣記をまじえて、夏場のクロダイ攻略法を紹介していただきます。
(アイキャッチ画像提供:えさきち)
夏の白石湖編(素材工房・橋爪佳則)
毎年6月の解禁とともに多くのカカリ釣りアングラーが足を運ぶ三重県・紀北町の白石湖にあるロッジ山水。今年の東海地方は梅雨明け宣言が驚くほど早かった。そこで猛暑日が始まったころに足を運んだ。
夏の白石湖の特徴
同フィールドはシャローエリアで潮の動きもない汽水域であるため、たくさんの魚をストックしている。名前の通り、各イカダやカセも、まるで湖に浮かんでいるようなシチュエーション。
この時期になるとボラやウグイも激しくダンゴにアタックし、ヒイラギ、アイゴ、コッパグレ等のエサ取りも多い。そんな夏のカカリ釣りの定義といえば、いかにエサ取りをかわすが課題となる。
ダンゴとさしエサとタックル
使用するダンゴは、素材工房のブルーステージプレミアム1箱に煎りぬか1袋、貝粉末1/3袋で、水分量は強く握り込んで形成できるパサパサカチカチを目安とする。この配合で着底後、ダンゴに魚が触れば数秒でエサ出しが可能となる操作性のいいダンゴの完成だ。ボラのスレやエサ取りをかわす、ダンゴの割れを確認しないラインテンションの釣りでも扱いやすいダンゴである。さらに、サナギミンチや素材工房のオキアミミックスは定番となる集魚素材で、海中の魚の活性を見ながらダンゴに混ぜ込みたい。
当日用意したさしエサだが、ちょこっとコーンはバニラ粉とあわせることでこの時期強いエサとなる。当日の釣果の多くはバニラコーンで、バニラのフレーバーはクロダイの捕食を加速させる不思議なスパイスである。また岩ガニも夏のエサの定番で、硬く細かく動く足は魚の捕食スイッチを入れる強いエサで、大きさにもこだわりたい。サナギもダンゴにクロダイが執着すれば強く、穂先が海中に突き刺さるようなアタリの出方は癖になるほどだ。さらにシラサエビも用意して数釣りも楽しみたい。
タックルは、サオ1.5mのpoker face プロトタイプに、リールはセイハコウSPRC83にフロロカーボンラインの1.2号、ハリは活エビ専用8号。
1投目から30cmの本命
開始時はバニラコーンをさしエサに3Bのガン玉を打った。1投目は着底とともにひったくるようなアタリで出迎えてくれた。30cmほどのきれいな魚体はシャロー特有の横に走り込むファイトで楽しませてくれた。
水深が浅いほどイカダやカセが作り出す陰の存在は大きく、朝早くから太陽が差し込むこの時期は日陰の存在を気にすることも大切である。
アタリ見極め本命追加
さらにダンゴの打ち返しを続けると、海中はにぎやかな夏の海となり穂先に伝わるシグナルは頭を悩ませる。よくアタリの見極めと言われるが、クロダイのアタリは他の魚と比べるとしつこいアタリが多い。スレアタリは穂先を横に振ることが多く、穂先とラインを極力直角に保つことで判別しやすくなる。
当日の振り返りと今後
当日はダンゴの釣りよりも落とし込みの釣りに反応がいいように感じた。このようなときはボラやウグイが強く、クロダイはイカダの陰から様子をうかがっているような感じで、梅雨明けの不安定な水温変化がもたらせたのではないかと振り返った。
暑い日が続き水温差も安定すれば本格的な夏の数釣りが始まる。朝夕のマヅメ時には大型も期待できるフィールド白石湖。皆さんもたくさんの飲料水やパラソル等を持参し、熱中症対策万全で夏のカカリ釣りを楽しんでみてはいかがだろう。
夏の鳥羽・本浦編(素材工房・橋本直)
なかなか釣行予定が決まらない間に梅雨明けしたかと思えば、台風で戻り梅雨のような天候となっている。そんななか、夏クロダイを楽しもうとホームグラウンドの三重県鳥羽市・本浦のやま栄渡船へ釣行した。
当日は天候も不安定な予報で、朝方に一時雨がパラついたと思えば、その後は晴れてまた夕方に雨と目まぐるしく変わる1日だった。
小田の浜のイカダで
渡ったのは小田の浜のイカダ。まずはルーティーン通りにダンゴでしっかりとポイントを作ってからオキアミでスタート。事前情報でカワハギが多いと聞いていたが、予想通りオキアミは瞬殺。そこでコーン、サナギをメーンに釣りを組み立てていき、間にオキアミを差し込んでいく予定。
まずボラを寄せるために速いピッチでダンゴを打ち返してステージを作り上げていくが、やはりこの時期はボラがキーワードとなる。エサ取りが多いこの時期、クロダイの個体が多ければいいが、まだそこまでの状況ではないので、やはりボラにダンゴをつつかせてエサ取りを蹴散らせてもらいクロダイの捕食の間を作ることが釣果につながる。
ボラ反応し本命のファーストヒット
釣り開始から約5時間、潮の動きがかわったタイミングでダンゴにボラが反応しはじめた。しばらくした後、明確なアタリで本日のファーストヒット。
エサはコーンで、ボラにダンゴを割ってもらいイカダの下に入る潮にラインをシンクロさせていき、ラインテンションに気をつけていると穂先がいきなり突き刺さるような激しいアタリだった。
それからしばらくして同じパターンで追加したが、ボラもなかなか安定せず毎投状況が違って難しい釣りを強いられる。しかし基本はやはりダンゴ。エサ取りが多くても必ずクロダイが反応してくれるタイミングがあるはずだと信じて打ち返しをしていく。
コーン中心に本命ポツポツ
当日は大潮で釣り始めは下げ。昼過ぎから潮が上げてくるのでタイミング的には昼から活性が高くなってクロダイだけではなく、エサ取りを含めて穂先に明確なアタリが頻繁に出るようになった。そんな状況のなか、コーンを中心にクロダイをポツポツと追加をすることができた。
エサ取りが多いなか、クロダイだけを寄せて釣ることは困難ではあるが、魚全体の活性が低くければ、さらにクロダイを釣ることはより難しくなる。そのため、どんどん魚全体の活性を上げてクロダイの捕食スイッチを入れることが必要。あとはエサのローテーションやラインテンションでよりクロダイに近づいていくのではないだろうか?
ダンゴ
活性を上げるために欠かせないのはダンゴ。私は毎回同じ配合で、あとは季節によって使う量がかわるだけ。
この時期なら箱ダンゴ(イエローステージプレミアム)を2箱使用するが、これは打ち返しの量が違うだけで内容などはかわらない。同じ内容のダンゴでコントロールよく安心して釣りが組み立てられるように意識して毎回釣行している。
最終釣果
結果的に当日は、クロダイ30~42.5cmを8匹仕留めることができた。同釣り場では、これからさらにクロダイの活性が上がり本格的シーズンに突入する。また同時に、夏本番を迎え厳しい暑さも大敵。急な雨や暑さをしのぐには多めの飲料水とパラソルは必需品だ。皆さんも熱中症対策万全に、元気な夏のクロダイに挑戦してみてほしい。
当日のタックル
サオ: NSR ASRAMAX160F3
リール:セイハコウスペシャルRC83
ミチイト:LINESYSTEM 筏テクニカル1.5号
ハリ:スーパー競技3号
ダンゴ:素材工房のイエローステージプレミアム、煎りぬか、ガーリック粉末、オキアミミックス