チヌ(クロダイ)釣りといえばシーバスと肩を並べる近場の大物代表で、「難しそう」と思われがちだが、実は都市近郊でも手軽に狙えるうえ、釣り入門ターゲットとしても十分なポテンシャルを秘めているのをご存じだろうか?ここでは入門ターゲットとしてのチヌの魅力を掘り下げてみたい?
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS編集部・中西)
チヌってどんな魚?
クロダイは、タイ科に分類される魚の1種で、北海道の南部、日本列島、朝鮮半島から台湾までの東アジア沿岸域に分布している。関西以西では「チヌ」の名前が一般的で、いぶし銀の体色とその精悍な姿から釣り人の憧れの魚となっている。特に50cmを超えるものは「年無し」と呼ばれ、これを釣るのはチヌ釣り師の目標の一つと言っても過言ではないだろう。
とはいえ、意外と近くに生息しているのもこの魚の魅力。環境への適応力が高く、汚染にも比較的強いため工業地帯にも多く生息し、河口の汽水域にもよく進入する。そのため、多くの河川河口で手軽に狙うことのできるターゲットでもあるのだ。
キビレについて
以上、チヌについてみてきたが、チニングのターゲットはチヌだけではない。忘れてはならないもう一つのターゲットが、「キビレ(キチヌ)」だ。特に関西圏では個体数が多く、チヌよりよく釣れるターゲットとして人気。
こちらもタイ科の魚で、チヌに似た姿をしている。詳しく見ればいろいろチヌと違うところもあるが、一番の違いはヒレが黄色いところ。最大でも45cmくらいにしかならないのでやや小ぶりな魚ではあるが、引きは強く、味はチヌよりいいと評判だ。
チニングは釣り入門に最適?
では、そんなチヌを狙う「チニング」が釣り入門に最適なワケを見ていこう。
都市近郊で手軽
まず一番に挙げらえるのが、近場で狙えるところ。もちろん内陸部に住んでいると近場でとはいかないが、海の近くに住んでいるのなら釣り場はかなりあちこちにあるということ。港湾部は立入禁止の場所も多いが、河川河口ならエントリーできる場所はまだまだ残されている。
少ないタックル
そして、揃えるべきタックルが少ないのも魅力。極端な話、サオとPEライン0.8号前後を巻いたリール、あとはリーダー10~12lbにシンカー3~10g、フックとワームがあれば釣りができる。ちなみに、サオとリール以外は消耗品なので、高価なものではないため、初期費用はかなり安くあげられる点も初心者に向いている。
ちなみに、チニングロッドは汎用性が高いことでも知られており、これさえあればほかの釣りを始めるにあたって、ともかく手持ちのロッドで対応できる点もポイントが高い。
少ない装備
続いては少ない装備。前項でも見たように、必要なタックルが少ないということは、釣行時の装備も少ないということ。さらに、リリース前提のゲームフィッシングを考えているのなら、クーラー不要でさらに身軽に楽しめる。必要なものは、ライフジャケット、タモ、タックル類、タオル、飲み物くらいのものだろう。十分リュック一つで釣行可能だ。
電車釣行可能
場所にもよるが、電車釣行も可能という点も釣り入門にもってこいな理由だ。釣り入門のハードルを上げている原因に、大きな荷物と、それを運ぶ移動手段というのが考えられるが、荷物がコンパクトで電車内でも荷物にならず、駅から徒歩数分でエントリーできる釣り場も多い。
アクションも簡単
そして、実際の釣りにおいても、浅場のボトムを中心に探るので、レンジをそれほど意識する必要がないというのもわかりやすい。
また、ボトムワインドこそ多少難しいが、最悪ズル引きでも釣れるので、釣りながらアクションの勉強をするのにももってこいだろう。
リグが重く操作感がある
さらに、リグがある程度の重量で、キャストも簡単、操作感も十分。ライトゲームのように、「自分が何をしているのかわからない」なんてことも回避できるだろう。
デメリット
とはいえ、いいことばかりではないのも事実。一応確認しておいてほしい。
場所によっては食べたくない
チヌの食味評価は分かれるところだが、基本的にはおいしい魚である。以前淡路島で釣ったチヌを食べたが、マダイに匹敵する味だった。ただ、大阪湾奥の濁った海に居着いた真っ黒なチヌは、あまり食欲をそそるものではないのも事実。キャッチ&イート派は少し遠征するか、別のターゲットをお勧めしたい。
ボウズを食らう可能性あり
チヌは時期になれば同じエリアの同じような場所に居ることが多い魚なので、群れで回遊するアジやタチウオほど大外れはなく遭遇率も高い。ただし、食い気があるかないかは別の話。当然、ボウズを食らう可能性も頭に入れておいてほしい。
後述するズル引き、ボトムバンピングやボトムワインドを使い分け、チヌの食い気を誘うのも、ゲームフィッシングの楽しさの一つだ。
根掛かりが多い
そして、基本的にボトムの釣りとなるので、根掛かりは覚悟する必要がある。もし根掛かりしたら、大きく立ち位置をかえて引っ張ったりしゃくったりすれば外れることもあるので覚えておこう。切れたら根気よくリグろう。
リーダーの結束が必要
最後が、PEラインとリーダーの結束。いきなり摩擦系の高度なノットを組む必要があるが、PEラインとリーダーの結束は避けては通れないので、最初に覚えてしまおう。ラインメーカーのHPやYouTubeで詳しい手順を解説している動画があるので、ぜひ参考にしてほしい。