淡水魚の中でも最も人気のある魚「アユ」。孵化しから様々な漁法で漁獲されてきましたが、そのいくつかには「光を使う」という共通点があります。
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アユの伝統漁「夜網漁」
岐阜県を流れる濃尾三川のひとつ・長良川。ここで先月17日、アユを捕るための伝統漁法「夜網漁」が実施されました。
夜網漁は、光で川面を照らしながら船の櫂で船べりをたたいて音を出し、魚を網に追い込むというものです。眠っていたアユを音や光で脅かし、日が落ちてから川底に張った網で捕らえていきます。
多い年は一晩で約2000匹も獲れることもある効率の良い漁だそうです。夜網漁は10月まで月に1、2回ほど実施されます。(『眠る魚を驚かせ追い込む「夜網漁」光と音の伝統漁 岐阜・美濃市』岐阜新聞 2022.6.20)
各地にある「光を使う」アユ漁
この夜網漁はその漁法からしても非常にユニークなものに思えますが、実は同様の漁は日本各地に存在しています。
中でも最も有名なのが、高知県の四万十川や仁淀川で行われる「火振り漁」でしょう。この漁でも暗くなってから川底に網を張り、照明ランプの明かりと、竹竿で水面を叩いて出す音でアユを脅して網に追い込みます。昔は松明で水面を照らしていたので火振り漁と呼ばれていますが、行われることは夜網漁とほぼ同じです。
また、あの有名な「鵜飼漁」にも光は欠かせないものです。鵜飼漁では船べりに火を焚き、その光でアユを脅かして泳ぎ回らせるとともに、光がアユに反射するために鵜が見つけやすくなるのです。