海に生える海草「アマモ」について調べてみました。近海の生態系、しいては自然環境にとって、とても重要な役割を担っているようです。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
海に生えている植物「アマモ」
皆さんは海の中で育つ「アマモ」という植物をご存じでしょうか。
日本では北は北海道から南は九州まで、世界中では中国、ヨーロッパ、北米の温帯に広く分布しているイネ科の植物です見た目は細長いネギやニラのような見た目をしており、砂や泥の浅い海底に生えていることが多いです。
アマモについて、もう少し詳しく説明すると、からだは細長い葉と地下茎からなり、砂泥域に地下茎を伸ばして生育する雌雄同株の多年生の草本(種子植物)です。沿岸部では重要な一次生産者であり、アマモの周りには多くの生物が生きています。
アマモは甘い?
ちなみになぜアマモというかは、漢字表記を見ればすぐにわかります。
アマモは漢字では『甘藻』と書き、地下茎を噛むとほのかに甘いことに由来しています。
ワカメやコンブとの違い
日本では海の中で育つ植物と言えば「ワカメ」や「コンブ」を思い浮かべる人も多いと思いますが、このアマモは【海草】であり、【海藻】ではありません。
どちらも「かいそう」と読むことが出来ますが、アマモの場合は「うみくさ」と呼ばれます。
具体的にどのような違いがあるのかというと、まず、海草は海底に根を張り、花を咲かせる海被子植物です。地上に生えている植物と同じように春になると花を咲かせ種子を落とし、やがて枯れていきます。
一方、ワカメやコンブは、植物っぽい見た目、扱われ方をしていますが、実は植物ではありません。正確にいうと、原生生物界に属しています。なのでどちらかと言えば植物よりもキノコのような菌類の方が近い存在なのです。
同じような環境に育っている上に、なんとなく植物だと思っていた人からすると、ちょっと驚きますよね。
海のゆりかご
アマモがたくさん生えている場所は「アマモ場」と呼ばれ、さまざまな生きものが集まります。
このアマモ場では様々な生物が命を育み、隠れ家やえさ場となるだけではなく、産卵・子育ての場にもなります。
アマモ場では、光合成によってできた酸素を始めとし、植物プランクトン、動物プランクトンが豊富です。そのため、ゴカイ、カニ、ヨコエビなどがプランクトンを求めて住みつき、それを食べるサカナなどの生き物が多く集まります。
また、エサが豊富なだけでなく、稚魚などが大型の敵から身を守る隠れ家としても役立ち、時にはアオリイカなどが卵を産みつけにもやって来ます。
アマモはまさしく海のゆりかごであり、多くの命が育つ場所なのです。