今年もホタルイカが食べて美味しい時期になりました! パスタや煮物など様々な料理で活躍する春の味ですが、他のイカと違って「生食」には少し高いハードルがあります。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
ホタルイカ漁が解禁
富山湾の春の風物詩、ホタルイカ漁が先月1日に解禁されました。
代表的な水揚げ港のひとつ、滑川漁港の初日の水揚げは50kg。これは昨年の数値である127kgの半分以下となり、鈍いスタートとなっています。
県内水産物の生産予測を行う富山県水産研究所によると、今年のホタルイカ総漁獲量は1,048tを見込んでおり、これは過去10年間の平均である1,351トンを下回る予測となっています。
一方、ホタルイカ漁の様子を見学できる「ほたるいか海上観光」が今月3日に解禁されたのですが、そちらは今のところかなりの活況のようです。予約率は97%にのぼっているといいます。
荒天のため解禁が2日遅れたのですが、それでも多くの観光客がホタルイカの青白い神秘的な光を楽しんだそうです。(『ほたるいか海上観光 運航開始』webun 2022.4.4)
富山と兵庫で漁獲
ホタルイカは日本近海に生息する深海性のイカで、普段は水深200mより深い場所に生息しています。春先に産卵期を迎え接岸すると言われていますが、深海生物ということもありその詳しい生態はよく分かっていません。
有名な生産地のひとつである富山湾では、春になるとホタルイカが集団で浜辺に押し寄せ、これを定置網で漁獲します。そのためこの時期だけの美味となっているのです。
一方、日本で一番ホタルイカ漁獲量が多いのは、富山湾ではなく実は兵庫県です。兵庫県では深海まで落とした網を引いて漁獲しており、富山湾産と比べやや小ぶりですが、長い期間楽しむことができます。
生食は禁物
ホタルイカは非常に鮮度落ちが激しく、かつては産地周辺でのみ食べられていたマイナーな食材でした。これが冷凍加工技術の発達で各地に流通するようになり、現在のようなポピュラーな食材になるに至っています。
今では生食も行われるようになっており、生食用にパッケージングされた商品が売られることもしばしばです。しかし、ホタルイカの生食が有名になるに伴い、寄生虫症の発症例もまた増加傾向にあるといいます。
成体のホタルイカには、2~7%の確率で「旋尾線虫」という線虫が寄生しています。これがヒトの体内に入ると腸閉塞や皮膚爬行症(皮膚の直下を這い回りミミズ腫れのようなあとになる)などの厄介な症状を引き起こします。