「魚の舌を切り離して取って代わる」とされる寄生虫がアメリカで話題に

「魚の舌を切り離して取って代わる」とされる寄生虫がアメリカで話題に

アメリカで、魚の口内から「まるで宇宙人のような」寄生虫が見つかったというニュースが話題になっています。見た目は非常に奇妙ですが、実は我々にとっても非常に身近な存在です。

(アイキャッチ画像提供:茸本朗)

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アメリカで「舌を食べる火星人」が話題に

10月20日、米国版FBに「ガルベストンアイランド州立公園に火星人現る」という文章が投稿され、大きな話題になっています。

その投稿には、大きく口を開けたニベの仲間「アトランティック・クローカー」という魚の写真が添付されています。そしてその魚の口のなかには、虫のようなものがすっぽりと収まっています。

しかしそれは食べられたというふうではなく、むしろ魚の口を安住の地にでも選んだかのような馴染み具合になっています。

「魚の舌を切り離して取って代わる」とされる寄生虫がアメリカで話題に魚の口内に寄生する寄生虫(提供:茸本朗)

投稿したガルベストンアイランド州立公園のアカウントはこの写真について「舌を食べる寄生虫」と解説。「魚の舌を切り離し、代わりに自分が口の中にくっついて舌になる。そして、魚の口内の粘液を食べる」のだと説明しています。(『魚の舌を食べた寄生虫⇒そのまま魚の舌になる。不気味な姿に「まるで火星人」』ハフポスト日本版 2021.10.22)

この「火星人」はウオノエ

この生物ですが、もちろん「火星人」ではありません。これは「ウオノエ」という寄生生物の一種です。

ウオノエはダンゴムシと同じ等脚類というグループの節足動物で、漢字で書くと「魚の餌」となります。彼らが口の中に帰省している様子を「魚の餌」に例えたのですが、実際は魚(宿主)が彼らの餌なので真逆だと言えます。

「魚の舌を切り離して取って代わる」とされる寄生虫がアメリカで話題にウオノエの雌雄(提供:PhotoAC)

ウオノエは、こういう生き物が嫌いな人には耐えられないデザインに加え、寄生生物であるという特徴も相まって、見つけたヒトが悲鳴を上げてしまうこともしばしば。しかし、宿主の魚を殺したり、人間に影響を与えたりすることはありません。

ウオノエは夫婦仲良し

ウオノエは様々な魚に寄生する生物で、我が国でもごく普通に見られるものです。特にアジ科の食用魚である「カイワリ」では、水域にもよりますが比較的高い確率で見ることができます。

「魚の舌を切り離して取って代わる」とされる寄生虫がアメリカで話題にカイワリ(提供:茸本朗)

1匹の魚の口中に、大きなメスと、その数10分の1程しかない小さなオスが一緒に寄生していることもよくあります。そのため「夫婦仲睦まじく縁起が良い」として喜ばれることすらあります。

更にこれはあまり知られていませんが、実はウオノエの味はとても良いです。外骨格生物なので揚げると殻がサクサクとして香ばしく、身の味はシャコにも似ています。

もし、買った魚に寄生しているのを見つけたら、ぜひ怖がらずに食べてみてください!

<脇本 哲朗/サカナ研究所>