長くクネクネ系の釣り物の代表格。江戸前の釣り物としても古くから有名。釣っては楽しく、食べてもおいしいアナゴ釣りと、その独特のアタリを紹介したいと思います。
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船アナゴの釣り方
それでは、具体的な釣り方を紹介していきましょう。
小突き釣り
昭和の時代から東京湾での伝統的な釣り方。アナゴ用といっても過言ではない釣鐘型のオモリで、オモリの大きさ分ぐらいの幅で底を小突きながらの釣り方。
投げ小突き
シロギスやカレイ釣り同様、最近では船下だけの範囲に限定せず、少しでも投げて広く探る釣り方もあります。投げてオモリが着底した後、竿を45°前後立てつつ、小突き(船下での小突きとちがい、数回程度)ながら引いてくる繰り返し。
ただし、東京湾では潮の速い木更津沖の釣り場が主体で、投げる場合、他の釣り人とのオマツリには注意する必要があります。オマツリが頻発する場合は、控えるべきでしょう。
船アナゴ釣りのエサ
グルメなアナゴながら、船宿で用意されるエサは、汎用的な青イソメ。昭和のころには、サバやサンマの小さめの切り身を出すところもありましたが、今では青イソメだけでしょう。個人的に用意する人はいると思います。サカナの切り身の場合、やはり匂いで寄せる目的があると思われます。
エサの付け方
船アナゴ釣りの代表的なイソメ類のハリへの付け方を紹介します。
縫いさし
青イソメ1本をハリに縫うように付け、長いものはたらしが4~5cmでカット。余った分は、さらにチョン掛けで足す。切り口からの体液がアナゴの集魚効果ありといわれています。
房掛け
青イソメ数本を二分、三分し、ハリにチョン掛け。長くたらしすぎると、かじられるだけでハリ掛かりしにくくサヨナラされることが多いので、房掛けの場合も、たらしは4~5cmがベターと思われます。特に食い渋りのとき有効と思われます。
その他
サバやサンマの切り身は、幅1cm、長さ数cmに切ったものをチョン掛け。
船アナゴ釣りの魅力
続いて、船アナゴ釣りの魅力を紹介します。
釣り味
長い魚体をくねらせることから30cm弱の小物でも引き味は強く感じます。時折、その魚体的な特徴から、巻き上げる途中、巻き上げ方向に向けて泳ぐこともあるため、重量感を感じなくなりバレたかと錯覚する場合もありますが、魚体を見るまで一定の速さで巻き上げることが望ましいとされます。40cmを超えるものですと、なかなかの引き味と重量感があり、結構な大物かと感じます。
なお、アナゴは、アゴが硬いサカナとされ、アナゴ用のハリ(ウナギバリなど)は細く硬質な感じのハリで、刺さりやすくなっています。アナゴ釣りで「アワセを強く」と重視されるのは、そのためでしょう。
食味
寿司ネタ、天ぷら、アナゴ丼、白焼きなど、各々の好みで好きなもので味わえる楽しみがあります。アナゴ釣りでは、長い魚体のため、さばきにくいこともあるため、ほとんどの船宿で船上及び帰船後船宿側でさばいてくれます。
身と中骨と合わせてビニール袋に入れて持ち帰りでき、家ではその晩食べない場合には、下処理として身を熱湯で湯がいてヌメリを落としてから、冷凍庫で保存すると、後日でもおいしくいただけます。
季節性
東京湾では、4月中旬以降から出船となることが多いですが、夜釣りでもあるため、気温が暖かくなってからがベターでしょう。以前は、よく蒸し暑い晩によく釣れるといわれたものですが、近年の連れ具合からすると、懐疑的な点もあります。
ちょうどGW頃になるとだいぶ暖かくなり、釣りをしていると八景島あたりでイベントの花火が上がったりして釣り以外での楽しみもあります。何といっても東京湾の夜景は工場遊覧船が商売になるほどきれいですから、アナゴ釣り+遊覧と考えるのもいいかもしれません。