古くからの魚好きとして知られる我々日本人ですが、「好きな魚」の内実は昔と今でかなり変わっているようです。
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今後逆転する(かもしれない)魚は?
ここまで例に挙げたものは「評価が逆転してしまった」魚ですが、それでは「今その評価が逆転しつつある・してしまった」魚というのはあるでしょうか。未来のことはわかりませんが、そうなるのではないかと思われるものはいくつかあります。
例えばイカナゴ。かつて全国的に多産し、とくに瀬戸内では食卓に欠かせない惣菜魚であったイカナゴですが、ここ数年は全く出口の見えない不漁に陥ってしかっており、その結果、いまでは3000円/kgの値をつけることもある高級魚になってしまいました。
初心者でも釣れるターゲットとして人気の高いマハゼなども、かつては安い魚でしたが、浅瀬の埋立て等により激減し、今では数匹で1000円近くすることもある高級魚になりました。
和洋中どんな料理にも欠かせないスルメイカも、大衆イカというイメージがありますが、ここ数年の海洋温暖化によりめっきり採れなくなってしまいました。日本における塩鮭の代表原料であるギンザケも、今はまだ安価ですが、ロシアのウクライナ侵攻に伴うロシア産の輸入停止により、今後間違いなく値段が高騰すると考えられています。
このように、いま予測できるのはすべて「今後高級魚になる」と考えられるものです。いずれもその原因が我々人類にあるところが悲しいですね……。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>