サカナには手と足の代わりに、体の各所に鰭(ヒレ)があります。実はその鰭にもいろいろな種類があることをご存じですか?
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
鰭(ヒレ)の役割
サカナの体の仕組みで重要なものひとつが「鰭」(ヒレ)です。
手や足がない代わりに鰭を持ち、様々に進化させてきました。
サカナはこの鰭を使って泳いだり止まったり、鰭を使って餌を捕食したり、鰭に毒を持つことで身を守ったりするサカナなんかもいたりします。
また、私たち人間にとっては、鰭の位置や形状を見ることで分類に役立てることも出来、どのような進化をしてきたかを考えるヒントを与えてくれます。
今回はこの鰭について色々調べてみました。
鰭の種類
ほとんどのサカナの鰭は【背鰭・尾鰭・尻鰭・腹鰭・胸鰭】の5つの鰭を持っています。
これらの鰭を使い、サカナは水中で泳いだり、エサを探すなど様々なことに役立てています。
しかし、中にはタツノオトシゴのように尾鰭が無いものや、一部のサカナにしかない鰭も存在します。
例えばマス類のように背背鰭と尾鰭の間に【脂鰭(あぶらびれ)】と呼ばれる肉質の鰭や、マンボウ類特有の背鰭と臀鰭の一部が変化している鰭【舵鰭(かじびれ)】、トビエイ科のエイに見られる鰭で、胸鰭の一部分が頭部前端に突出した【頭鰭(あたまびれ)】などが存在します。
これらの鰭についてはその役割などが未だ解明されていないものも多くあり、今も研究が進められています。
鰭の硬さ
サカナを触ったことがある人ならわかるかもしれませんが、鰭の硬さは大きく2つに分けられます。
【棘条(きょくじょう)】と【軟条(なんじょう)】があり、これらを総称し「鰭条(きじょう)」と呼んでいます。
棘条の鰭というのは、読んで字のごとく、トゲのような鰭のことであり、軟条は柔らかくふにゃっとしています。
実はサカナによってこの棘条、軟条のヒレの数は決まっており、その本数を数えることによってサカナの種類を見極めることも出来ます。
鰭のあらわし方
硬骨魚類の鰭条の数をあらわすのにはアルファベットとローマ数字とアラビア数字を使用することがほとんどです。
アルファベットはD(背鰭)、A(臀鰭)、P1(胸鰭)、P2(腹鰭)、C(尾鰭)が基本です。
ローマ数字は大文字のローマ数字が棘条を、小文字のローマ数字が一部例外を除き軟条を表します。
通常棘条と軟条の間はカンマで区切ります。
例えばカクレクマノミの鰭は
DⅩ~Ⅺ,13~17 ; AⅡ,11~13 ; p1 15~18.
となり、背鰭(D)が10~11棘、13~17軟条、臀鰭(A)が2棘11~13軟条、胸鰭(P1)が15~18軟条となります。
腹鰭の軟条数が掲載されていませんが、省略されることも多いようです。少し難しく感じるかもしれませんが、これは慣れの問題なので、こういう数え方をするんだよ、くらいに覚えておくといいでしょう。
鰭を見て識別
鰭の数や鰭状、形などの特徴はそのサカナごとに必ず決まっています。
これらを見ることでそのサカナがどういう種類なのかを判別することができるので、アイナメをクジメのようによく似たサカナでも、特徴を覚えておくことで瞬時に判断することが出来るようになります。
少しでも興味を持った方は魚類学を勉強してみてはいかがでしょうか。
<近藤 俊/サカナ研究所>