サカナの縞(シマ)模様について、実は多くの人が間違った認識をしていることがあります。それは、一般的な認識と魚類学上の基準に隔たりがあるからのようです。
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サカナの横縞と縦縞
サカナの模様にはきれいな縞模様になっているものが多くいます。
例えば、イシダイの幼魚であるサンバソウはきれいな【縦縞】をしていますよね。
しかし魚類学上では、この模様は【縦縞】ではなく【横縞】だということを皆さんはご存じですか?
魚類学上の縞の向きの定義
まず、魚類学におけるサカナの「縦」と「横」については
縦:頭と尾を結ぶライン
横:腹と背中を結ぶライン
と定義されています。
ふだん私たちは、泳いでいる状態のサカナを見て上と下を判断していますが、魚類学上では90度変わります。
多少わかりにくい定義かもしれませんが、人間と同じように頭が上、足にあたる尾びれが下だと覚えておくといいかもしれません。
サカナの向きが変われば縞の向きも変わる
こうなると、縞の向きも90度向きが変わってきます。
すると、横縞に見えていた縞模様は縦縞になり、縦縞に変わり、横縞は縦縞に変わりますよね。
魚類学上での縞模様はこのように定義付けられているのです。
カツオは縞の向きが変わる
日本人が大好きなカツオは、生きている時と、死んでしまった後で縞模様の向きが変化することで知られています。
生きている時はエサを追いかけている時のような興奮時には魚類学上でいう横縞が背中側に現れ、死んでしまうと縦縞がお腹側に現れるようになります。
しかし、なぜ生死を境に縞模様が変化し、現れる場所も変わるのかはいまだに解明されていません。
名前に騙されないで
サカナの中には、「タテジマキンチャクダイ」のように名前に縞模様にちなんだ名前のサカナが多くいます。
しかし、そのほとんどは魚類学の定義に基づいた命名をされています。
一見、横縞なのになぜ?と思うかもしれませんが、そういう時は頭を上にして考えてみるといいでしょう。
<近藤 俊/サカナ研究所>