世界中で養殖魚の需要が増加している中、日本初の新たな技術「陸上養殖」に注目が集まっています。そのメリットとは一体どのような点なのでしょうか。
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水道水でサーモンを養殖
しかし現在、この陸上養殖の新しい技術を開発し、市場で存在感を放ちつつある企業が存在します。なんと「水道水」で陸上養殖することに成功したのです。
千葉県木更津市でこの企業が行っているのは「トラウトサーモン」の養殖。回転寿司などで気軽に食べられているサーモンですが、実は世界で最も需要の伸びが大きい魚のひとつで、価格が著しく向上しています。
こちらの企業が行っている陸上養殖システムでは、飼育水槽に水道水から作った人工海水を入れ、それをバクテリアの力でろ過し続けることで、水の入れ替えをせずに水質を維持しています。
魚が放出するアンモニアをまず硝酸に、さらにそれを気体の窒素に変換して大気中に放出するというシステムで、陸上養殖で最もコストがかかる「新鮮な水・海水の汲み上げ」を行う必要がなくなっているのです。すでに成功していた「アワビの陸上養殖システム」にヒントを得たのだそう。
この企業では今後、千葉県木更津市にサーモンの大規模な陸上養殖プラントを建設予定です。年間1500tの生産を目指しており、その後は国内のみならず、アジアの各都市での陸上養殖にも乗り出す考えとのこと。(『「水道水育ち」の魚…海や川に負担ゼロ 独自技術も』テレ朝news 2021.1.15)「陸上養殖魚」が我々の口にも当たり前に入る時代が、まもなく訪れるようですね。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>