たまに釣れるわりに、あまり食べたことが無いサカナ「ウミタナゴ」。実はウミタナゴにはいくつかの種類があり、美味しい色のものもいるのだとか……。
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ウミタナゴで安産祈願?
少し面白いのが、ウミタナゴの産卵。彼らは卵を産まず、「卵胎生」と言って、泳げる状態まで育ててから稚魚を産みます。東北地方ではそんなウミタナゴを安産祈願として、古くから妊婦さんが食べられているそうです。
江戸時代の書『食物和歌本草』にも、「たなごこそ懐妊の薬、朝夕に食してその子難産もなし」という記述があり、やわらかくておいしいウミタナゴの身は、妊婦さんの体にもいいとされ重宝されていたようです。
しかし、反対に島根県などの地方では、「ウミタナゴが子供を生む様を逆子が生まれてくるのに重ねて縁起が悪い」とも言われているため、一概に安産祈願というわけでもなく、地方によって差があるようです。
一度ご賞味あれ
近海に住み、エサ取りとしても定番ゲストであるウミタナゴですが、あまりおいしいサカナだとは思われていない節があります。
確かに、ちょっとしたひと手間は必要ですが、思ったよりおいしいサカナであるのも事実です。塩焼きや、煮つけ、素揚げなど、火を通すことでグッと旨味が増すウミタナゴ。今度釣れたときは是非食べてみて下さいね。
<近藤 俊/サカナ研究所>