たまに釣れるわりに、あまり食べたことが無いサカナ「ウミタナゴ」。実はウミタナゴにはいくつかの種類があり、美味しい色のものもいるのだとか……。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
ウミタナゴとは
ウミタナゴは「スズキ目スズキ亜目ウミタナゴ科ウミタナゴ属」のサカナで、浅い海を好んで生息しています。
赤っぽい見た目をしていることもあり、釣り人の中には釣れた瞬間「マダイ!?」と喜んだのもつかの間、よく見たらウミタナゴだった……なんて経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。
ウミタナゴは海藻がよく生えた岩礁地帯を群れで泳ぎ、日本の東北地方から九州までで見ることができます。
淡水のタナゴとは別種
タナゴと聞くと淡水にすむ小魚のイメージが強く、名前もそれに由来しているようですが、実は分類学的には全くの別種です。タナゴは「コイ目コイ科タナゴ亜科タナゴ属」なのに対し、ウミタナゴは先述のとおり「スズキ目スズキ亜目ウミタナゴ科ウミタナゴ属」なのです。
大きさも淡水のタナゴは大きくなっても10cm程度なのに対し、ウミタナゴは大きいものだと30cmくらいにもなります。見た目で間違えることはほとんどなさそうですが、ウミタナゴを「タナゴ」と呼ぶ人はいるので、間違えないように気をつけましょう。
ウミタナゴの種類
実はウミタナゴには色んな種類があり、「マタナゴ」「アカタナゴ」「アオタナゴ」など、いくつかの種に分かれます。
体色が異なる
魚類学者の間では、しばらくの間ウミタナゴは1種類だと考えられていましたが、2007年、従来の「ウミタナゴ」のほかに、体色に青みがかっている型を亜種として「マタナゴ」、赤みがかっている型を別種として「アカタナゴ」に分けらました。
さらに、近縁種に「オキタナゴ」「アオタナゴ」もいることから、釣り人でウミタナゴに詳しい人はこれは青、これは赤など言って見分けることもできるようです。
ちなみに、アカタナゴは名前の通り赤い体色をしているので、見分けるのは非常に簡単です。しかし、それ以外は素人目には区別するのは難しく、釣れたとしてもまとめて「ウミタナゴ」とまとめてしまいがちです。
食べておいしいのは?
意外と種類があるウミタナゴですが、食べておいしいのは、赤くて簡単に見分けることが出来る「アカタナゴ」だと言われています。ウミタナゴの中でも大型であり、味が濃いのが特徴です。
しかし、ウミタナゴは総じて水っぽい身をしていることから、あまり食されていません。そのため流通量も少なく、スーパーなどではほとんど見かけることもないでしょう。
オススメは塩焼き
あまり食べるサカナだと認識されていないウミタナゴですが、「塩焼き」で食べるのはオススメです。ウミタナゴの旬は秋~冬。この時期のウミタナゴは味わい深く、甘みを感じさせます。
しかし、先述のとおり身に水分が多いので、下処理として魚の表面とお腹の中に塩をふり、30分ほど待って余分な水分を抜いたほうがベターです。30分経ったら水道水で洗い、水気を拭きとってもう一度塩を振ってから焼きましょう。
このひと手間でグっと旨味が凝縮され、ウミタナゴを美味しく食べることが出来ます。