「カレイ」があまり養殖されない理由 成長速度と価格イメージがネック?

「カレイ」があまり養殖されない理由 成長速度と価格イメージがネック?

日本人にとって馴染み深い食用魚であるヒラメとカレイ。実は、ヒラメは全国的に養殖が盛んなのですがカレイの養殖物はマイナーです。なぜこの違いがあるのでしょうか。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

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その他 サカナ研究所

養殖されるカレイたち

このように「成長が遅い」「魚価が低い」ために養殖が盛んでないカレイですが、逆に考えればこれらのデメリットがなければ養殖が可能になるとも言えます。そして実際に、ハードルをクリアして養殖を行っているところもあります。

例えば青森県中泊町では、「マツカワガレイ」という高級カレイの養殖を行っています。マツカワガレイには「緑色の光を当てることで食欲が増す」という研究結果があるそうで、この技術で成長速度を早め、出荷までの飼育期間を短くすることで生産性を上げることが可能になるそうです。(『カレイ養殖で新たな試み/小泊漁協(中泊)』陸奥新報 2020.5.19)

「カレイ」があまり養殖されない理由 成長速度と価格イメージがネック?生食用の活け締めものが流通するホシガレイ(提供:PhotoAC)

また、発電所から出る温排水で促成栽培を行う例も各地で行われています。東日本大震災で頓挫してしまいましたが、かつては福島第一原子力発電所の温排水を利用し、高級カレイであるホシガレイの養殖が行われていました。(『
高級カレイの養殖に成功 福島第一で温排水利用して』原子力産業新聞 2004.1.15)

近年、流通の発達により、カレイも生食用鮮魚での需要が増え、魚価が向上しています。様々な技術の発展により、今後「養殖カレイ」もポピュラーな存在になっていくかもしれません。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>