多くの人が「釣った魚で鍋をする」ことにあこがれを持っているのではないでしょうか?今回はそんな思いを叶える絶品釣魚鍋「ブリしゃぶ」レシピを紹介します。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・濱堀秀規)
お家鍋で暖まろう
2020年末から新年にかけては、新型コロナウイルスの第3波の拡大による感染拡大防止対策により、GOTOイートも慎重になり、忘年会や新年会を見合わせたりして、外食の機会が減ってきたのではないだろうか。
そんな時には、おうちで家族と一緒に食べる鍋が、心も体も暖まる。勘違いしないでほしいのは、鍋を食べるといっても、金属や陶器の鍋そのものを食べるのではなくて、鍋料理の食材を食べるのである。「あっ、わかってますよね。すいません」。
そして特に、自分が釣ってきた魚の鍋は格別おいしい。こんなお魚釣ったんだね、「おとうさんすご~い」と自尊心まで満たしてくれる。
ブリが当たり年
今年は、ツバスやハマチやメジロやブリが当たり年である。これらは呼び方が違うが、全部同じ魚。成長とともに名前がかわる出世魚である。徳島の鳴門海峡でも、徳島県南部の日和佐沖でも、愛媛県の日ブリ島(日振島)でも、ブリとその子供たちをたくさん釣った。本当にブリの当たり年である。このままだと、2021年も続くだろうと予想している。
大きなことを言ってしまったが、自分が釣った魚で鍋をする場合は、ブリの子供の、ハマチでもメジロでもまとめて、「ブリ鍋」と呼ぼう。そして、もしブリが釣れなかったり、釣果が少ししかなかったりした場合には、買い足した食材もプラスしても全然OK。
徳島には「すだちブリ」があるし、香川には「オリーブハマチ」を、漁協が売っている。
釣り場での下処理
さてさて、おいしいブリしゃぶを食べるには、釣り場での処理が肝心だ。
血抜き
ブリの下処理は、なんと言っても血抜きである。釣り上げたら、船の上ですぐに自分で血抜きをするのがいい。船中でいけすに生かしている場合は、釣りに専念して、港に帰ってきてから血抜きをしてもいい。また、遊魚船によっては船長が血抜きをしてくれるサービスもあるので、そのときはお任せすると楽である。
締める時のコツ
包丁で締める時のコツは、魚が暴れないように、足で魚の頭を踏みつけて固定すること。同時に、片手で魚の尻尾をしっかりにぎりしめて固定することである。包丁を入れる場所であるが、魚の頭から側線に向かう縦の模様があるが、この模様の目からエラよりにむかった、魚の心臓がある近くを、グサッとナイフを差し込むといい。
包丁がない場合
包丁がない場合は、下顎からエラに指を突っ込んでエラを切るだけでも血抜きになる。早く血を抜きたい場合は、片方のエラだけでなく、左右両方のエラを切るといい。
「えー指で血抜きするの?」と驚く方もいるが、エラの腹側の下方向は軟らかいので、意外と簡単に指が入る。指でエラを1枚引っ掛けて抜くと、簡単にエラが1枚切れる。これで、血抜きができる。
最近は、神経抜きをして持ち帰る方も多くなってきたが、神経抜きは魚を長く保存するのに向いていて、身はずっと軟らかいままである。私はコリコリっとする食感が好きなので、死後硬直するくらいの、絞めてから間がない短い時間で食べるのが好みなので神経締めはしない。しかし、血抜きはする。
持ち帰り方・自宅での処理
どんなに寒くなって気温が下がってきても、氷水が入ったクーラーにはかなわない。気体よりも、液体の氷水の方がよく冷えるのである。めちゃくちゃ冷えていることを「かんこおり」というが、かんこおり水の中にドボンと潜り込ませて持ち帰ると、鮮度が保ててバッチリである。
自宅での下処理は、エラと内臓を外し、身を短冊にすることである。5枚に下ろして、身を短冊にして容器に入れておくと、愛する妻や、魚好きの息子が、おのおの包丁で一口サイズに切ってお刺し身や、ブリしゃぶにしてくれる。
コリコリ派?熟成派?
ハマチサイズは、死後硬直したコリコリの身を、その日のうちにさばいてもうまい。ただし、「ブリ」のサイズや、それよりも大きな「トド」のサイズになると、すぐに食べた場合、「渋み」が口に残る場合がある。いわゆる生の渋柿を食べたときのように、口の中や舌がピリピリするのである。脂の多いハラミでは渋を感じることがないが、尻尾に近い部分は渋を多く感じることがある。だから、大きな魚は熟成した方がおいしいと言われるのである。
それでも私は、死後硬直したコリコリとした食感の方が好みである。大きなブリをその日のうちにさばいて「食べたら身がピリピリする。これって、毒が入っているんじゃない?」と疑う人がいるが、そうではない。渋みを感じたら、数日冷蔵庫で熟成するか、お刺し身で食べるのではなくて、火を入れる料理をすればいいだけである。