琵琶湖で『アユ漁』が解禁 新型コロナウイルスの影響で取引量は減少か

琵琶湖で『アユ漁』が解禁 新型コロナウイルスの影響で取引量は減少か

12月1日、琵琶湖で「アユ漁」が解禁されました。同湖を代表するサカナですが、今年はまずますの好漁とのこと。しかし漁業者を悩ます事情があるようで…。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

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その他 サカナ研究所

琵琶湖のアユ漁が解禁

滋賀県の6分の1を占める日本最大の湖・琵琶湖。この湖を代表する漁の一つである「アユ漁」が12月1日に解禁されました。

この時期に漁獲されるのは「氷魚(ひうお)」と呼ばれる稚魚。港に戻ってきた船からは、活きの良い稚魚たちが手早く生簀に移されていきます。

このアユは食用や養殖用として主に滋賀県内の業者に引き取られ、そこから全国に出荷されていくそうです。漁はアユが成長する8月まで続けられます。(『ぴちぴち「氷魚」手際よく水揚げ 琵琶湖でアユ漁解禁、漁獲は平年上回る』京都新聞 2020.12.3)

プライドフィッシュ「コアユ」

琵琶湖のアユは他の地域のアユと種的には同一なのですが、一部を除きあまり大きくならないという特徴を持っています。成長しても10cm程度の大きさにしか成長しないこともあり「コアユ」と呼ばれる事が多いです。

琵琶湖で『アユ漁』が解禁 新型コロナウイルスの影響で取引量は減少か成長しても小さいまま(提供:PhotoAC)

このコアユはうろこが細かく滑らかで舌に障らない上、サイズが小さいゆえに皮や骨も柔らかく、丸ごと食べる料理に向いています。コアユの料理は琵琶湖沿岸を中心に滋賀県下で広く親しまれており、滋賀県の「プライドフィッシュ」にも選出されています。なお、内陸県で「プライドフィッシュ」が指定されたのは滋賀県のみです。

解禁から2月くらいまでの間に獲れるコアユの稚魚は、体が氷の様に透き通っていることから「ヒウオ(氷魚)」と呼ばれています。ヒウオの時期の漁は「エリ」と呼ばれる定置網漁が主体となっており、生きたまま漁獲・水揚げするために様々な工夫がなされています。

新型コロナで需要減か

アユは、琵琶湖漁業にとって漁獲高の半分近くを占める最重要魚種であり、解禁直後の漁獲量は毎年注目を集めます。本年1日の漁獲量は滋賀県内の14漁協で計5.7tに至っており、過去10年の平年値である5tを上回ったそうです。

その一方で、生きたまま取引されるアユの注文量は12月時点で12.7tとなっており、これは昨年を約3t下回る数字となっています。これらは主に日本全国の河川に放流されるものや、食用として養殖されるものであり、新型コロナウイルスの影響で需要が減少したものと考えられています。

琵琶湖で『アユ漁』が解禁 新型コロナウイルスの影響で取引量は減少か鮎釣りの伝統を支える琵琶湖のコアユ(提供:PhotoAC)

関係者は「注文量は減っているが、新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着き、アユの友釣りなどといったレジャーの需要が出てくれば需要は持ち直すのではないか」と推測しています。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>