秋になると鮮魚コーナーでよく目にする「戻りガツオ」。カツオはいったいどこから戻ってきているのか。「戻り」の意味とその由来について調べてみました。
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他の北上&南下するサカナ
では、なぜカツオだけが「初~」や「戻り~」と付くのでしょうか。
文献などによると、カツオは14世紀にはすでに食されており、大和朝廷に献上されいた事が分かっています。それほど長く食べられているサカナですが、いつから「初~」や「戻り~」と呼ばれるなったかは定かでではありません。
サンマやブリ
しかし、季節に応じて北上したり南下する魚はカツオだけではありません。
私たちの良く知るサカナでは、サンマやブリなども同じように回遊し、南下を始めたころが脂も良くノリ、美味しいと言われています。
「戻りサンマ」もある
サンマにだけ関していえば、実は「戻りサンマ」という言葉自体は存在します。
紀州地方では晩秋から冬にかけて獲れるサンマのことを「戻りサンマ」と呼びます。しかし、この紀州の当たりで獲れるサンマは脂も落ち、やせ細っています。
そのため、「戻りサンマ」はそのままで食べられることは少なく、干物や「ナレ寿司」のネタとして重宝されているようです。
なんとなく「戻り~」が付くと旬で美味しい!というイメージを持ちがちですが、脂がたっぷりとのっていることを指す「戻りガツオ」とは反対に、脂が乗っていないことを指す「戻りサンマ」という言葉が存在しているのは非常に不思議に思えますね。
旬が終わる前にご賞味あれ
カツオの旬は秋ごろであり、今が旬の最盛期~旬の終わりの時期です。是非この機会に旬のカツオを食べてみてください。
脂がたっぷりとのった「戻りガツオ」は1年のうち今しか食べられません。逃してしまうと、食べられるのはもしかしたら一年後になってしまうかもしれません…。
<近藤 俊/サカナ研究所>