他の釣り人がヒットしたらチャンス!
開始10分、隣の釣り人のロッドが撓る。手巻きのナイスファイトで揚がったのは立派なカンパチ8kg級。この日の銭洲は過去2度とは全く違う状況。「反応バリバリ!」という船長のアナウンスで仕掛けを投入すると船中次々サオが突っ込みます。午前8時過ぎ、反対舷のミヨシと胴の釣り人にヒット。
他の人にヒットしているときは良い群れにあたっている証拠。そのタイミングに餌を落とし込むとヒットする確率は高くなります。仕掛けを一旦10m程巻き上げて落とし込み、錘が着底してまもなく私のマッドバイパーに震えるような前アタリ。
アタリからフッキング
大きなアカイカ餌の場合、特に早合わせは禁物。そのままラインテンションを保ちつつ、竿尻を腸骨に当て、左手はバットに添えてファイティングポジションをとります。
数十秒後フッキングがなされロッドがグンと引き込まれ、この瞬間にバットを握る腕でしっかりロッドを支え、全身で魚の引き込みを受けとめ、のされないようにすることが重要です。そしてそのこと自体が確実なフッキングを実現します。
やり取り:細かなドラグと巻上速度の調整
水深が浅い銭洲ではドラグは締め込み、太ハリスでのガチンコ勝負が基本です。弱気になり糸を出しすぎれば根に入られることも多くなります。ただし強引な巻き上げでは口切れのバラシもあります。
バイパーの曲がりと全身に伝えられる生命エネルギーは10kg以上の良型の予感。10m程糸が出たところでファーストランは止まりました。ドラグを更に締め、しばらく耐え頭をこちらに向けます。
シーボーグ800MJのパワーレバーで中速巻き程度の負荷を加えて行くと、少しずつラインが巻き上げられて、攻守交代のタイミングが訪れます。残り50mラインくらいになると根掛かりのリスクも少なくなるので、すこしドラグを緩めつつ、サオ先は目線の高さに合わせ、ポンピングは行わず電動パワーでスピーディーに引き寄せる。途中幾度もロッドを撓らせる強烈なファイトを披露し数分後大タモに収まったのは11.3kgの良型カンパチ。
電動リールのメリット
このやりとりで示すように、電動リールの一番のメリットは巻き上げ最中、最適なドラグ設定のもと、電動巻き上げを一定の速度で行っていれば、魚が引いたときは糸が出て、逆に魚が引かないときは引き寄せ、ラインシステムにかかるテンションが一定に保たれることなのです。
一旦針掛かりした魚をやりとりの最中逃すのは、魚が抵抗して(引いて)いるのに強引にリールを巻き上げることでラインシステムに大きな負荷をかけてハリス切れや口切れを招くことや、魚が浮き上がったり、こちらに向かって泳いでくる際に糸フケが出来、ラインテンションが減じることで針が外れてしまうケースが多いのです。
特に大物釣りを手巻きで行う場合は、一旦下に向けたサオ先を頭上まで上げて魚を浮かせ、サオ先を再び下げるときに、道糸をリーリングしてゆくいわゆるポンピングという行為で、魚を引き寄せる必要がありますが、このポンピング中にラインテンションが変化して魚をばらすリスクが高まるのです。勿論、百戦錬磨のベテラン達は、大物相手でもそれをこなせるのですが、経験が浅い釣り人や、体力・筋力の弱い人達には、これは容易なことでは無いのです。
ハイパワー電動リールならポンピング不要
裏を返せば、ハイパワー電動リールを用いていれば、大物とのやりとりでも、ポンピングは不要です。サオ先を上げすぎず、水平(から気持ち上)にサオ先を構え、ロッドの弾力が上手く発揮されるポジションで静止して、同一テンションで巻き上げ、魚を寄せてきます。この釣法はポンピングに比べ、見た目の派手さはありませんが、とても堅実な釣法です。ポンピングのように魚を強引に引き寄せないので、魚にもストレスがかからず、暴れにくくなります。
そして、魚を暴れさせないことは大物釣りで問題になるサメのアタックも減らすことにつながると考えます。経験的に派手なポンピングで引き寄せたり、強引なやりとりで魚を暴れさせることでサメへのアピール度が増してしまう傾向があるからです。実際この日も他の釣り人が掛けたカンパチの何匹かはサメの攻撃を受けていました。