水族館で人気のナポレオンフィッシュ。大きく美しい体は皆の視線を集めます。水族館でよく見るけれどあまりよく知らないサカナたちを、ちょっとだけ詳しくご紹介していきます。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
美味しいせいで激減
ナポレオンフィッシュが生息する南の海では、彼らは非常に美味しいサカナとしても有名です。
沖縄では、「ヒロサー」などという名前で呼ばれ、漁師たちに格好の食材として獲られてきました。
香港ではナポレオンフィッシュは「蘇眉(そうめい)」と呼ばれ、高級食材として扱われています。
食べると寿命が延びると言い伝えがあったため、台湾や東南アジア諸国で乱獲、密漁が頻発し、その生息数は激減してしまいました。
絶滅の危機?
ナポレオンフィッシュは見た目の面白さや味がよいという理由により乱獲され、また地球温暖化などの影響で生息するサンゴ礁が減少したことから、ここ30年ほどの間に数が激減してしまいました。
そのため2004年には絶滅危惧種に加えられ、現在は捕獲も制限されていますが、密漁も後を絶たず、各地で生態調査や保護活動が強化されています。
近年では世界的に人工的な繁殖にも成功し、日本でも沖縄県などで養殖が始まっています。
少しずつではありますが、生息数は確実に回復傾向にあり、今後の成果に大きな期待が寄せられています。
水族館のアイドル
全長2mに達することもあるナポレオンフィッシュは厚い唇と大きな口、色鮮やかな体色や模様は水族館でも圧倒的な存在感で人気者です。
野生では、少し気の強い一面もありますが、飼育されている個体は性格が穏やかで人懐っこい性格をしているものが多いです。
エサの時間になるとダイバーに自ら近付き、手からエサをもらったり、頭のこぶを撫でてもらって喜ぶ姿が観察されています。
<近藤 俊/サカナ研究所>