全国規模で人気のタイラバゲーム。落としてただ巻くだけという言葉にすれば単純明快な釣りだが、これが実に奥が深い。また軟調ロッドと極細PEラインという今までのマダイ釣りの概念から外れるようなライトタックルを使うことも人気の秘密だろう。今回は奥は深いが、単純だからこそ始めやすいタイラバゲームについて解説してみたい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 編集部)
船の流し方を理解しよう
冒頭にも書いたが、タイラバの釣り方はいたってシンプル。ただ落として巻くだけ。文字にすれば単純極まりないが、それだけではない奥の深さがある。
まず海域によって船の流し方が違うことを覚えておこう。例えば日本海であれば、比較的深場をドテラ流しで流すことが多い。ドテラ流しとは、風や潮に任せて船を横流しにする方法。これだと釣り人は自分の後方に船が流れていくため、ラインは釣り人の前方に流れていく。
当然船の流れる速度が速ければラインにどんどん角度がついていくので、ラインの出ていく量も増えていく。角度がつき過ぎると、いったん回収しなくてはならない。
一方、伊勢湾などでは浅場を除いて船を立てることが多い。スパンカーと呼ばれる船の帆を上げ、風に対して船が直角になるようにする。船長は前進と後進で船の位置を調整し、ラインがまっすぐ下に落ちるように操船してくれる。これは漁礁や根周りなど、ピンポイントに魚が着いている場合に有効な釣り方。どちらがいいかはそのときの状況次第だが、中部エリアから釣行範囲の船ではドテラ流しで流す方が多いようだ。
タイラバ釣り方の3つの「キモ」
まず選ぶのはタイラバのシンカーの重さ。もちろん船長に聞くのが一番だ。伊勢湾口、鳥羽沖、紀東エリアでは、よほどの深場を除いて100~120gぐらいが主流になると思う。あとは潮の速さや風の強さによって、底が取れる重さのシンカーを選択していこう。
いったん底まで落としたら、後は一定のスピードで巻き上げるのだが、これが意外に難しい。まずサオ先を海面近くまで下げ、グリップエンドは脇に挟んでしっかり固定しよう。そしてリールを手のひら全体で包み込むようにして持つ。
これでしっかりタックル全体が固定されるので、この状態でリールを巻き続けよう。
サオ先をブラさない
第1のキモはサオ先がブレないこと。そのためには、しっかりロッドを固定することが大事だ。
巻きスピード
第2のキモは巻きスピード。日によって正解のスピードを探し当てよう。速く巻いたり遅く巻いたり、いろいろ試して正解を探る。そしてヒットスピードが分かれば、船中でその情報を共有することも大事。そして釣れている人のスピードをまねしてみる。その際、できればその釣っている人が使っているリールがハイギアなのか、パワーギアなのかも確認しておきたい。
ネクタイのカラー
第3のキモはカラー。シンカーのカラーはあまり関係ないように思うが、ネクタイのカラーによって明らかに差が出ることがある。基本はピンクやオレンジ、グリーンなどだが、濃いめの青やグリーン、黒などがいいこともある。これは水中でのシルエットをぼかすか、はっきりさせるかということ。これは潮の色や濁り具合で判断したいが、分からないときはとにかくネクタイをローテーションし、ヒットカラーを見つけ出そう。
即アワセは厳禁
アタリは突然、明確にサオ先をたたく。魚が小さいほど派手なアタリを出す傾向が強い。ここで大事なことが、アタリがあっても何事もなかったかのように、同じスピードで巻き続けること。これがこの釣りで最も難しいことだろう。
慣れていない人は、間違いなくアタリがあった瞬間にアワせてしまう。もちろんこれで掛かることも多々あるのだが、基本はそのまま巻き続けること。そしてしっかりサオ先が曲がり込んで重みが乗れば、しっかりハリに掛かった証拠だ。あとは無理せず、魚が走ればラインを出してやり、止まれば一定のスピードで巻き上げる。
ドラグは緩めに設定しておこう。少し強めにイトを引っ張れば滑るぐらいが基準。分からなければ乗船時に船長に見てもらおう。ラインが細いので、少しでも強引なファイトをすればラインブレイクにつながってしまう。
<週刊つりニュース中部版 編集部/TSURINEWS編>