マダイファンにとって、これからの時期は水温上昇とにらめっこ。まだ、乗っ込みというには少し気が早いものの、現状を確認するため2月24日(月・振休)、東京湾金沢八景の一之瀬丸からコマセマダイで釣行した。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関東版 田中義博)
一之瀬丸でマダイ釣り
一之瀬丸マダイ船の舵を握るのは、瀧本晃史船長。あいさつを済ませてから状況を聞く。「ここのところ、久里浜沖を狙っていますが、釣果のムラは激しいですね。水温が安定しないことと、澄潮の影響からか、反応がでてもなかなか口を使ってくれないんですよね。まぁ、厳しい状況ではありますが、その中で釣れる1尾は価値あるマダイですから、そんな魚を求めて頑張っていきましょう」と語ってくれた。
集まったファンは総勢6人。3人ずつ左右舷に分かれて乗り込み、7時すぎに出船。
ポイントの久里浜沖までは航程40分ほどで到着。付近には浅場を狙う船団もあれば、やや深場を狙う船もある。船長は、その中間になるポイントで船を止め「では、ここから始めてみましょう。水深は70mです。上潮はやや速いですが、底潮はそうでもない感じですので、ハリス分を基準に、上を狙ってみてください。それとビシは着底させないようにしてくださいね。ミチイトのマーカーで65mくらいまでで止めてから、エサ取りの状況を見て、コマセの振り方を調整してみてください」と、非常に分かりやすいアナウンスでスタート。
当日のタックルと仕掛け
私が使用したハリスの長さは10m。指示された水深65mでビシを止め、ハリスがナジむのを10秒ほど待つ。コマセを数回ずつ振りながら、まずはハリス分プラス5mとなる55mのタナへ。
効果的な誘いになるのが、付けエサをコマセと同調させながら落とし込むよりも、落下してくるほうがナチュラルであり、マダイからの反応はいい。そのため、高めのタナからスタートさせ、ハリス分プラス2mとなるビシ位置58mまでゆっくりと落とし込んだところで、食わせの間を20秒ほどとる。そこでアタリがなければ、付けエサの状況を確認するため、コマセの打ち返しを行っていく
場所移動でゲストが顔出し
付けエサはきれいに残ってきたため、落とし込む幅を広げ、次の誘いはハリス分プラス1mの59mまでにすると、今度はエサ取りにやられてしまった。そこで、プラス2mまでを基準にその後の釣りを組み立てていく。
この一連のコマセワークから、誘いに要している時間は5分ほど。毎回、このペースを崩さずに、付けエサのチェックとコマセの入れ替えを行っていく。
スタートから1時間が経過しても、船中でアタリをとらえた人はなし。そこで船長は状況を打開させようと船を深いほうへと移動させ、水深91mへと進める。「ここは、アジやサバなどの反応はありますが、時折、本命らしい反応がでています。指示ダナは先ほどと同じ、ハリス分を下限に上を意識してみてください」のアナウンスで再開。
ここでは、船長の言葉の通り、まずは30センチを超える良型アジが竿先を揺らす。丸々と太った個体で、ゲストという表現が申し訳ないほど。また、メダイなども顔を見せ、徐々にではあるが、魚っ気が増えてくる。
深場へ移動が吉
最初の大きなアタリをとらえたのは、右舷胴の間に座った紅一点、江崎さん。「ハリス分のタナで小さく誘ったら食ってきました」とコメント。電動リールの低速で巻き上げてビシをキャッチ。ハリスを手繰るとゆらりと海面下が赤く染まり、1kg程度の当日最大となる美しい本命。「本命が釣れたことはもちろんですが、美味しいお魚が掛かってくれて嬉しいです」と江崎さん。コマセマダイはまだ3回目らしいが、船長の指示を的確に守っていたことが本命キャッチへつながったのだろう。
次にアタッたのは右舷ミヨシの釜渕さん。600g前後ではあったが、この日の状況下では、貴重な1尾だ。「ハリス分プラス4mからの落とし込みで食ってくれました」と釣れた際の状況を話してくれる。釜渕さんはその後、2連続で1kgオーバーのイシダイを連釣し、笑顔を見せる。
船中ヒットも筆者にアタリなく
さらにその直後にアタリをとらえたのは、左舷トモの森澤さん。危なげないやり取りで、こちらも貴重な600g級をキャッチ。「低いタナを狙いすぎていたようで、船長に言われてタナをハリス分プラス2mに上げた途端に食ってくれました。本当にラッキーでしたし、船長に釣らせてもらった1尾です」と笑顔がこぼれていた。
一気に本命が姿を見せ、次は自分の番と攻め続けていったものの、その後は船中沈黙。付けエサは取られずに時間だけが過ぎていく。潮変わりの時間帯に期待したが、状況に変化なし。船長は少しでも食い気がある場所を求めてポイント移動してくれたが、14時半の沖上がりまで好転することはなかった。