身近な河川で手軽に振り出し竿で巨大魚と対峙する。今回は釣りの中で最も簡単な部類に入る、食パンを使ったコイ釣り『パンコイ』(パンプカとも呼ばれる)を紹介する。こんなに身近で簡単な釣りにもかかわらず、昔から一部の愛好家にしか行われていないのは勿体ない話。この記事を読んで、お仕事前に、放課後に、釣竿1本と食パンを手に水辺へ出向いてほしい。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・楢崎人生)
5000円で始めるパンコイの道具
『1500円だけ握りしめて来い』という焼き鳥屋を知っているが、パンコイの場合は5000円ほど準備してほしい。パンコイでは思わぬ大物が釣れる事も多く、ハヤ釣り竿程の強度では大破する可能性がある。
長さ3.6mから5.4m程で、ある程度、強度のある万能竿が2000円前後で販売されていると思うので、可能な限り長めの竿を購入してほしい。
糸はナイロン10号以上を推奨する。確実に仕留める為には14号から20号を使えば間違い無い。ハリは伊勢尼や石鯛の10号以上をお勧めする。竿と糸が強靭であればハリが伸ばされる可能性がある為、軸の太いハリが必要となる。
パンコイ専用の仕掛けが大手メーカーをはじめ複数の企業から販売されている。パンを浮かせられればそれで事足りるので、大き目の玉ウキやドングリウキでも釣りは出来るが、やはり専用の仕掛けを使った方が便利で確実だ。
市販の仕掛けは400円のものからプロフェッショナルによる手作りの逸品まで幅があるので、予算と気分に合わせて気に入った物を選んでほしい。
釣り場選びの注意点
リールを使わない釣りなので小規模河川が狙い目。トロ場や流れ込みのある場所にコイが複数匹ゆったりと泳いでいるのが確認出来れば文句無しだ。濁りでコイの姿が確認出来ない場合でも、食パンを小さくちぎって撒き、コイがパンを喰うようなら釣り場として合格だ。
上記の条件を満たしていても、ぬかるみで足場が悪かったり、竿や仕掛けが電線に触れそうになったり、通行人や自動車の交通量が多く接触する危険性がある場所は絶対に避けてほしい。身近で手軽であるからこそ、安全第一を心掛けよう。
また、河川によってはコイに漁業権が設定されている場所もある。その場合は「遊漁券」を購入することをお忘れなく。
パンコイの釣り方
まずはパンを小さくちぎって撒きコイの反応を調べる。河川では上流から少しずつ一定の間隔で撒き、止水域では撒き過ぎに注意しながら広範囲に撒いてコイを探す。
コイが最もパンに反応している場所へ流れを利用して仕掛けを投入する。その際、複数匹が競い喰いをしている場所へ川上から流すのがベスト。
反応が薄くたまにしかパンを喰わない場合は、コイがあまりいないか、底にあるものを食べている可能性が大きいので、置き竿にしてコイが喰うのを待つか場所を移動しよう。
食パンのハリ付け方法
エサは食パンの耳の4つ角を使う。
ハリを4つ角へ垂直に差し込み、フトコロの頂点まで入れ、差し込んだらハリの形に沿ってハリ先を出す。そのままチモトまで引き抜き、180度回転させ、ハリ先からフトコロいっぱいまでパンに差し込めむ。パンをやや大きめにちぎったら完成だ。
パンコイのアタリとアワセ方
パンコイ最大の魅力は、ルアーのトップウォーターゲームと同様にコイが水面を割ってエサに喰い付く瞬間が目視出来るということだ。コイがパンコイ仕掛けを水中まで引き込んだのを確認して、イシダイ釣りと同じくらいの渾身の力でアワセてみよう。
リールを使った釣りならばコイが70cmでも80cmでもドラグ調整で何とか釣り上げられる。しかし今回はのべ竿。モンスターの力を全身で受け止めなければならない。
のべ竿でも長めの竿と太い糸ならば、慣れていなくても力勝負に持ち込んで勝てるはずだ。大型のコイと戦うのに少し不安があるならば、魚の動きに合わせて時間をかけて落ち着いて取り込もう。