ご存じの人も多いと思うが、今年2月1日から遊漁船(釣り船)乗船時のライフジャケット着用が義務化された。釣り人に直接的な罰則はないが、乗船者に着用させていない船長には相応のペナルティーが科せられるため、指示に従わない場合、乗船拒否されるケースもでてくるだろう。違反点付与は2022年2月1日~これが積み重なると口頭指導や免許停止、業務改善命令が出される。ここでは、過去の海中転落の死亡率や、釣り中の事故発生状況、遊漁船に乗るとき、どのタイプの製品を着用すればいいのかなどを紹介する。
着用の有無が生死を分けます
平成28年をみると、遊漁船の事故隻数は65隻、ケガをした人は38人で、死者はいなかった。
過去5年間では、事故隻数353隻、死傷者134人中、死者・行方不明者は5人。
船舶からの海中転落者のライフジャケット着用、非着用別による死亡率は、着用で10%、非着用では56%。
このように、着用の有無が、海中転落した場合の生死を分ける大きな要因となっている。
一方、活動場所別事故者および死者・行方不明者と、ライフジャケット着用率をみると、遊漁船事故より陸っぱり事故者数のほうが圧倒的に多い。
過去5年間の釣り中の海中転落による事故者は997人。
ライフジャケット着用者は230人(23%)だった。
死者・行方不明者は506人で、防波堤、磯場、岸壁の順に多い。
本来であれば、事故者数が多い釣りジャンルから、着用の啓もうや指導、義務化を行うべきだと思うが、なかなか難しいのが現状で、今後の課題だと言えよう。
※グラフはすべて海上保安庁データから抜粋。
大人も子供も桜マーク付きのタイプAを
ともあれ、今回、義務化されたのは遊漁船乗船時におけるもの。
では、どのようなライフジャケットを着用すればいいのか。
以下、国土交通省のホームページを見ると、ライフジャケットには、水中で浮き上がる力が、7.5kg以上あること、顔を水面上に維持できることなどの様々な安全基準が定められています。
国土交通省が試験を行って安全基準への適合を確認したライフジャケットには、桜マーク(型式承認試験及び検定への合格の印)があります。
と書いてある。
「桜マーク」の付いたライフジャケットはタイプA~Gの7種類に分けられるが、多くの遊漁船(定員。13人以上)では、すべての海域に対応するタイプAを着用しなくてはならない。
従来の磯用やルアーゲーム用といった固型式ライフジャケットは適応外品がほとんどなのでダメ。
※渡船を除く。
市販されている膨張式ライフジャケット(大人用)の多くは、形式承認品のタイプAなので問題ない。
しかし、子ども用は、まだまだ種類が少ないのが現状。
ネットでも販売されているが、気をつけなくてはいけないのが、桜マークが付いているか、タイプAかの二点。
しっかり確認してからポチッとしよう。
また、船宿でレンタルする場合、有無を確認するように。
今回の施行により、もっとも大変なのは釣り人を受け入れる側の船宿だろう。
釣行者がタイプAのライフジャケットを持参してくれればいいが、ビギナーほどレンタル品を利用する人が少なくない。
親子や、子どもが多く乗船する船宿は、形式承認品を数多く揃えなくてはならない。
最後に
船釣りに限らず、身近な川釣りや堤防釣りのときも、この機会に〝ライフジャケット着用〟を心がけてほしい。
特に子どもは、ふとした瞬間に事故にあうケースが少なくない。
楽しく安全に釣りをするために。
下の表にあるように、子ども用は体重に合わせ、サイズを選ぶ必要がある。
小児用ライフジャケット(1才以上12才未満)は、以下の3種類あります。
子供の体格にあったライフジャケットを選びましょう。
体重が15kg未満(浮力4.0kg以上)
体重が15kg以上40kg未満(浮力5.0kg以上)
体重が40kg以上(浮力7.5kgのもの)
たまに大人用のブカブカなものを着けている子どもを見るが、万が一、落水したとき脱げてしまい危険。
写真のライジャケは編集部社員の私物。
本体は黄色で、タイプAの基準を満たしているが、カラーバリエーションがあるという理由から、メーカーがタイプDで申請。
このライフジャケットで遊漁船に乗ることはできない
【取材協力:海上保安庁、国土交通省海事局安全政策課】
【実際海に落ちたらどうなるか。ライフジャケットの効用を確かめてみた。はコチラ】
<週刊つりニュース関東版 編集部/TSURINEWS編>
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