実際海に落ちたらどうなるか。ライフジャケットの効用を確かめてみた。

今月から、すべての小型船舶の乗船者にライフジャケットの着用が義務化となっている。みなさん、準備はお済みだろうか。持っていない人は、規定のものを購入し着用しよう。表面的にはこれだけのことだが、大事なのは落水したときにどうなり、どうやって救出を待つか、ということ。これは「傍観者ではいけない」と思い、ライフジャケットを着用し、あえて冬の海に飛び込んで、その効用を確かめた。

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TSURINEWS編集部 TSURINEWS編集部

船釣り

2つのタイプで検証してみる

撮影のため冬の海へ。※安全を考慮しレインウェアの上にウエットスーツを着用。

1月29日(月)、向かったのは相模湾逗子海岸にあるマリンボックス100(※)。

ヨットやマリンジェットに加え、釣り用ミニボートの出艇基地として人気の艇庫施設。

スタッフの岩間次郎さんの協力を得て和舟で沖に向かった。

着用したのは、膨張式のショルダータイプウエストベルトタイプ

もちろん、認定品の桜マーク付きタイプA

ショルダータイプ

ショルダータイプ。

広く普及している形で、腕を通して肩にかけ、おへそ辺りのバックルで止める。

上半身が少し固定される感じだが、ウエスト周りが大きいものもあり、種類が豊富。

ただし、緩めたまま着用しがちで、落水したときに膨張したライフジャケットだけが浮いてしまい、上半身~顔が浮き上がらない。

腹周りに密着するようにしっかり調整して、前のバックルで止めよう。

事前情報で、このタイプの膨張装置のセンサーは、水を感知するまでに、若干の時間差があると聞いていた。

実際に落水してみてそれを体感。

実験として行っていても、足が着かない海上では不安になり、「あれ?まだなの」と瞬時に恐怖感にかられる。

ショルダータイプで落水して気を失っていたらこのような感じだろうか。

体験者として、膨れるまでの数秒が、とても長く感じられた。

膨張してからは、背中から頭の後ろまでホールドされるような感じの姿勢になり、気道が確保されて楽に息ができた。

ウエストタイプ

人気のウエストタイプ。

腰に巻くので上半身が動きやすい。

積極的に竿を動かすルアーマンにはうれしい形状。

デザインがシンプルで着用しやすい。

ただし現状では、前者ほど種類がないのが残念。

メーカーの新製品に期待したい。

こちらもしっかりと腰に巻いて着用してから落水。

すると、体が水に浸かって浮き上がると同時に膨張した。

タイムラグがなく安心感があった。

しかし、きつく締めすぎていたのか、腹辺りから浮いてしまった。

タイムラグなく膨張した。

当日はナギだったため、顔に波をかぶらなかったが、少しでもウネリがあったら呼吸しづらかったと思う。

浮き輪のような状態で腹からずり上げ、脇に抱えて上半身を安定させた。
もし、気を失っていたら。

腹周りの大きい人や女性の場合は、もしかしたら同じような状況になるかもしれない。

少し緩めに着用するか、慌てずに、気道を確保できる体勢を取れるようにライフジャケットの位置を直そう。

万が一の際は……

いざというときは、クーラーボックスが浮力体となる。

仮に、ライフジャケットを着用していなかったり、着用していても膨張しなかったという場合だが、空のクーラーボックスが役に立つ。

話には聞いていたが、これも実験してみると、かなりの浮力があった。

もちろん、中には何も入れていない状態。

ロープを付けて投げてもらいそれに掴まった。

しっかりした浮力で安心感はあるが、落水したときに意識があるとは限らない。

その点では使用状況が限られる方法だと思う。

現実的には、遊漁船ですぐにロープをつなげられるのかという点で課題がある。
しかし、数人でプレジャーボート釣行する場合などは、あらかじめロープを用意しておくのもいいだろう。

プールなどでの体験は一部あるようだが、海上ではなかなか行う機会がない。

救出する時は

この現場を設定して思ったのは、何よりも、救出方法。

どうやって船に上がるのか。

遊漁船の場合は、船長や同船者に助けを請うことになる。

舷高がある場合はロープやハシゴ、舷高が低いなら、数人が協力して手を差しのべても、すくい上げることができる。

難しいのは、ボート釣りの場合。

今回は、和舟のためエンジンを切った船外機をチルトアップして、プロペラの付け根に足をかけ、ボートに這い上がった。

この日はセーターなど水を吸って重くなるような服を着ていなかったので自力で上がれたが、そうでなかったら難航したと思う。

これが手漕ぎなどのミニボートの場合は、さらに難しくなる。

ボートの横側から乗ると転覆するので厳禁。

後ろ側から這い上がるが、ボートの軽さや不安定さもあって、一人の場合は無理だと思われる。

ボートに掴まったまま、レンタルならボート店に電話をしよう。

同乗者がいる場合も同様。

もしくは、転覆に気を付けながらすくい上げる。

連絡する際

なお、日本における海上での事件・事故の緊急通報用電話118番は、全国11カ所の各管区海上保安本部に接続される。

主に関東地方を管轄としている第三管区海上保安本部の総務部総務課広報・地域連携室長の中村佳史さんによると、「遠いところになると10分、20分で救助に向かうのは無理ですが、118番での通報は、現場近くのマリーナや各地の水難救済会に救助を要請するなど、救助全体をコントロールしています」。

119番の消防のように覚えやすい番号だが、場所によっては救急車のようにすぐにかけつけてくれるわけではない。

まずは直接レンタルボート店やマリーナなどに連絡することを想定しておこう。

そして、ささいなことではあるが、落水するとメガネを着用している人の場合は、そのまま紛失ということもありえる。

スマホをポケットに入れていたら、落水と同時に海の底へ、なんてこと
も……。

そういうことも想定し、メガネにはバンドを、スマホはロープ付きの防水ケースに入れておくなど対応をしておくといいだろう。

ウエアも目立つ色がいい。

【取材協力:マリンボックス100、オーナーばり】

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<週刊つりニュース関東版 編集部/TSURINEWS編>

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この記事は『週刊つりニュース関東版』2018年2月9日号に掲載された記事を再編集したものになります。