梅雨の真っ最中だが、7月7日は、晴れのち曇りで雨は降らないし、波も穏やかな天気予報である。これなら、七夕の彦星さんと織り姫さんは、天の川で無事会えるだろう。よかったね。と言う事で、当日は鳴門のマダイに出あうため鳴門市撫養川河口へ向かった。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・濱堀秀規)
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タイラバ初挑戦の釣友と乗船
乗り合いで予約していた、釣り船愛海(なるみ)は、午前5時半出船。渡辺さんと私の2人は地元なので、15分もあれば、鳴門市撫養川の渡船乗り場に到着する。朝、明るくなったころ、渡辺さんの軽トラが私の自宅まで迎えに来てくれた。軽トラの広い荷台には、荷物が積み放題である。
やっぱり地元の釣りは、移動時間が短いので朝が楽であると同時に、お迎えの渡辺さんにも感謝である。私たちも、彦星さんと織り姫さんのように、これから無事、マダイとご対面する事ができるだろうと、その時は思った。
今回がタイラバ初挑戦の渡辺さん。PEラインは新調した1号を釣具店で巻いてもらったとのこと。「仕掛けは、釣具店おすすめのものを4セット持ってきました」と続ける。「マダイなら簡単に釣れるでしょう。初めてでも。10尾が目標です。わはははっ」とやる気満々である。
「おー頑張れよ」と答えたものの、内心、初めてのタイラバで10尾目標とは、目標が高すぎるのでは?と思いつつ、やる気のあるのはいい事だと頼もしくも感じた。
私はと言うと、15年以上昔からタイラバをしているが、釣り方は漁師のように、ビシを使った手釣りを基本形にしている。
流行の細いライン&軟調サオで挑む
最近の細いラインに、軟らかいロッドを使った釣りは、あまりやった事がない。あいにく、愛海には船の横に竹の筒がついていないので、ビシをカタカタとこすりながら落とし込むのは気が引ける。タイ釣り以外では、愛海によくお世話になっているが、タイラバでの乗船は2年ぶりである。
今回、私はビシも使わないで、手釣りでもなくて、最近の釣り方で臨む事にした。
この日の乗り合いのお客さんは、兵庫県から山口さん親子と、地元のN名人と、渡辺さんと私の5人である。鳴門海峡に船を走らせてポイントに到着して釣り開始。すると早速、山口さんが魚を掛けた。
早々に良型マダイがヒット
「コンコンとサオをたたいているので、間違いなくマダイでしょう」。私は動画を収録しながら「大きいぞ、慎重にな。丁寧にな」と声をかけた。タモに収まったのは、60cmは余裕で超えている良型のマダイである。
「オー立派」、「やるー」、「みごとやなー」、「デカいでー」と皆から祝福の声がかかる。本人も「ギャハハッ」と大喜びである。写真撮影のために両手で持ってもらったマダイは偏光グラスをかけたままの男前とよく似合った。ええ1枚が撮れた。ありがとう。
それからも、潮を見ていいポイントを次から次へと移動してくれる、愛海の森英輔船長の読みが当たり、他の皆にも次々とアタリが出だした。
サイズの差は巻き速度の差?
山口さんのお父さんも3尾目。息子の章太さんは2尾目と数を稼いでいく。お父さんは「私には小さいマダイばっかりなのは、なんでかな」と聞いてくるので、「あ~それは、巻く速度ですね。大きな魚と小さな魚ではどちらが速く泳ぐと思いますか」とヒントを言うと「それは大きな魚やな」と返ってきた。「それです、それ」。息子の章太さんが口を挟む「ある名人が、回収するときは大物が食ってくるって言ってました」。
一方、初挑戦の渡辺さんにもアタリがあった。半信半疑でリールを巻いているが「おります。おります」と、急に速巻きで回収に入り、タモに魚が入った。紛れもなく、ピンク色が濃い鳴門鯛(マダイ)である。
本人は「やりました~」と、にこにこ顔である。森船長もマイクで「初マダイ。おめでと~」と祝福。N名人にも、やっとアタリがあった。森船長がカメラマンの私に向かって「全員安打したんで、もう帰りましょうか」とニヤッとする。
「え~、まだカメラマンは釣ってないので待って」、「カメラマンは、釣らなくていいでしょ」、「私も釣るけんなあ。そしたら全員安打やけん」とやりとり、ちょっと真剣に釣る事にした。
タイラバ最大のコツ
タイラバのコツは、手釣りでもサオ釣りでも、仕掛けの「底取り」と「底離れ」である。底取りは仕掛けが底に着いた事が分かるようになると釣れる。マダイは底にいて、底から這い上がってくるので、まずは底取りができる事。
そして、底が分かったとしても、仕掛けを底でジッとしていてはダメである。すぐに立ち上げて動かす事。理想は底に着く1mm前には巻き上げ体制に入ること。そう。仕掛けの動きを止めない事であるが、それでは底に着いたがどうかが分からないので、底に着くやいなや巻き上げる事である。
渡辺さんへのアドバスは
・もし底が分からなければ、仕掛けをもっと重くして、底が分かるようにしないと釣れない。できたら、仕掛けは小さいほど食いがいいので、大きくしたくはないが、底が分からなければ、この釣りはできない
・底が分かったら、今度はイトフケを取るように、すぐに3~5回速巻きしてから、通常の巻き速度に入る事
と説明した。
渡辺君の巻きを見ていると、底取りは理解してできているようだが、底離れは十分理解していないようであった。イトフケを取る、仕掛けの着底と同時の速巻きができてないからである。
底離れができないとワニゴチ?
渡辺さんが「来ました~」、「あれ、ワニゴチでした」というのは、底で仕掛けが動かずに止まったままになっている時間が長い証拠である。
船長から「今、映ってるよ」のマイク放送のあと、N名人がヒット。愛海には過去を見る魚探と未来を見るソナーの両方が備え付けられているので、森船長には時合いがよく分かる。
ドラグが滑って良型マダイ
そのすぐ後、私にもコツコツと前アタリの後、コンコンと本アタリがあった。サオに乗ったので、ドラグを締めて一定速度で巻くが、ドラグが逆回転してラインが出ていく。かなりの手応えである。ドラグがまだ緩いのかもと、巻きながらベイトリールのドラグを締めるが、十分締まっている。やっぱり大物である。
「バレるなよ」と念じながら巻くが、ハリはがっちり掛かっているなと想像できる、激しい突っ込みを数回繰り返す。その後もコンコンと頭を振るので、間違いなくマダイである。姿が見えると、山口さんがビデオを右手に持って、左手でタモを構えてすくってくれた。
時合いがくると皆に釣れ出す。山口お父さんも4尾目。山口さんもマダイを釣り上げた、そして、渡辺さんが「よっしや~」。その後、魚が浮き上がると「くっそー、ワニゴチめ」である。
そして、N名人には、またしてもアタリである。「数え間違いでなかったら、これでトー」、「10尾目ですか。すごいね。おめでとうございます」。
「やっぱり腕の差が出ますね」と言う渡辺さんに「そうじゃな、釣具店で売ってない、サオの上のものの差やな」と、2回、渡辺君さんの腕をたたいた。渡辺さんは「魚はおるんやね。リベンジに期待です」と締めくくった。