そろそろ梅雨を迎えるこの時期、安定した釣果が望める金沢八景沖のアジを狙って、5月17日(金)、東京湾金沢八景(漁港内)の鴨下丸を訪れた。
鴨下丸でアジ船
集まったファンは11人。右舷5人、左舷6人に分かれて乗り込み、私は左舷操舵室の横に釣り座を構えた。
出船前に救命胴衣の着用、喫煙場所の指定および「熱中症を防ぐため飲料必携」のアナウンスがあり、7時20分、高山将彦船長の舵取りで桟橋を離れる。
快晴、北東の微風で海上はナギ。左手に八景島シーパラダイスを眺めながら真沖を目指す。航程20分でスローダウンして潮回りに入る。
アンドンビシにコマセのミンチをゆったりめに詰め、仕掛けの上バリに、船宿支給の赤短、下バリ2本には青イソメ(1パック¥200で販売)を軸いっぱいに通し刺し。このエサは、濁り潮のときに効果がある。
まずはコマセで魚を寄せる
やがて、反応を捉えると軽く制動がかかり「はい、どうぞ。底上2m前後を狙ってください」の合図で仕掛け投入。竿の着底後、すばやくイトフケをとり、1m巻き上げたらシャクってコマセを振りだし、もう1m上げたタナに合わせる。
10秒ほど待ってもアタリがなければ、その位置で再び竿先をシャクり、ポーズを入れる。これを4、5回繰り返したら仕掛け回収、コマセを詰め直す。
とくにスタート直後は魚群を引き寄せるため、ひん繁にコマセを打ち返すことが大事。2投目、コマセを振ってタナを合わせると、ビッビッと竿先を震わせるアタリがきた。
聞き上げるようにソフトにアワせると、グイーと引き込む。ゆっくり巻き上げに入ると、グッグイーとさらに引き込みが強くなる。サキイトが見えたところで竿を立てながら引き寄せ、ビシをコマセオケに入れ、ミキイトをたぐると、銀鱗を輝かせながら3つの魚影が上がってきた。腕いっぱいに伸ばし、次々に抜き上げる。18~22cmの中小ながら、黄色味がかった幅広で美味そうなアジ。
アジの群れで入れ食い
全員が懸命にコマセを振ると、アジの群れはすっかり船について、入れ掛かりに突入。手返しを早め、夢中になって釣りまくる。
船中のあちらこちらでダブル、トリプルで舞い上がる。バケツに溜まった魚を数えながら、氷と海水の入ったクーラーに移すと、早くも30尾を超えていた。
「少しペースが落ちたかな」と思うと、すかさず船長は「少し移動します」とアナウンス。再開すると、たちまち入れ食いが始まる。誰もが納得の数を確保したところで、「大アジを狙ってみましょう」と船長が提案。
大アジ狙いへ
15分ほど走って、船長とっておきのポイントへ。水深は45mとやや深い。合図で投入すると、ミチイトはトモへ向かって斜めに入っていく。ここでもひん繁にコマセを打ち返す。
ふと右隣を見ると、宮田純さん(厚木市)がきれいな放物線を描く竿を抱え、両軸リールを懸命に巻き上げている。時折、穂先がグッグインと力強く引き込まれているので、期待の大アジがヒットしたようだ。
ころ合いを見て、タモを手にして横に立つと、目を見張るほどの大型が大きな円を描きながら浮上してきた。魚の頭がこちらへ向いたときにサッとタモを入れ、無事にすくい上げる。
彼は「ありがとうございます」と礼を述べると、素早くハリを外して再投入。また、すぐに穂先が叩かれてアタリ。竿尻を小脇にしっかりと抱えてリーリング。
宮田さんは「釣りはワカサギ専門で、沖釣りは3回目ですが、前回釣ったアジが美味しくて評判がよく、みんなから背中を押されて出掛けてきました。リクエストに応えることができて本当によかった。船長のおかげです」と感謝の弁を述べ、嬉しそうだった。
大アジが連発!
「早く大アジとの対面を果たしたい」と、気合いを込めて投入すると、願いはすぐに叶えられ、グッグインとと穂先が入った。聞きアワセを入れるとグッと確かなハリ掛かり。ゆっくり慎重に巻き上げる。
途中、断続的に力強い引き込みが訪れ、スリルもなかなかなものだ。やがてイナダのような魚影が悠然と浮上してきた。待ち構えてくれたタモへ頭から誘導し、すくい上げてもらった。さらに、3尾、4尾と追釣したところで船中の様子を見て回る。
釣り後の楽しみは
右舷ミヨシでは、地元の常連、小林立夫さんが仁王立ちで愛竿を振っていたが、こちらも立て続けに取り込んで両手に花のポーズ。左舷トモ2番では、川口市から来た松浦正浩さんが、釣趣をじっくり楽しみながら釣果を重ねる。「中小アジはタタキ、フライに南蛮漬け。大アジは刺し身がいいかな。アフターフィッシングも楽しみですよ」とコメント。
このあと、ますます潮が速くなり、終盤は朝イチのポイントに立ち寄り、中小アジを追釣、13時に沖上がりを迎えた。
船中釣果は18~41cm30~105尾。ゲストはマダイ、サバ、カサゴ、イシモチ、ムシガレイなど多彩な顔ぶれ。竿頭は小林さんだった。
<週刊つりニュース関東版 APC・大村 隆/TSURINEWS編>