ネットニュースを賑わす「夜光虫」。昼と夜で全く異なる顔を見せる生き物です。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
湘南や伊豆の海が真っ赤に染まる!
先月末ごろ、関東や東海地方でネットを賑わせた海のニュースがあります。それは「夜光虫の発生」。
4月末ごろからこれらの地域の浜辺に夜光虫が大量発生し、それを見るために多くの人が海岸近くに押し寄せているのです。見物客のために「夜光虫発生予報」なるウェブサイトも作られるほど注目が集まっています。
夜光虫が輝く浜(提供:PhotoAC)夜光虫はその名の通り夜になると青白く光り、非常に幻想的です。しかし昼の間は一転して、まるでケチャップを海にこぼしたかのように真っ赤。夜と昼で全く違う印象を受けるのは間違いないでしょう。
正体はプランクトン
この夜光虫、正体はノクティルカという植物プランクトン。ヤコウチュウ科に属し、季節によって大発生したり突如いなくなったりする不思議な生き物です。
夜光虫は体内にルシフェリンという成分を持っており、これがルシフェラーゼという酵素と反応することで青く発光します。刺激を受けると青白く光るため、浜に寄せる波や船の引き波でも発光します。
波間で光る夜光虫(提供:PhotoAC)しばしば同様に発光するウミホタルと混同されますが、こちらは甲殻類の一種となっています。またこちらは海中にいるときはあまり光らず、捕獲して直接刺激することではっきり光ります。
観光資材になるか?
この夜光虫、特に湘南や三浦の海岸ではその光の美しさから、なかば観光資材のようになっています。特に湘南では見物人が押し寄せ、浜辺はまるで花火大会の時のようです。
ただ残念なことに、この夜光虫には大きな欠点がひとつあります。それは「臭い」。夜光虫が大量発生しているとき、周囲には生臭い臭いが広がり、あまり心地の良いものではありません。
昼間の夜光虫(提供:PhotoAC)またノクティルカは赤潮原因プランクトンの一種であり、大量発生によって海が赤く染まると、海中の日照が遮られたり水中の酸素が消費されて少なくなることで、一時的に生き物が減少することもあります。
たとえ観光資材になったとしても、漁師さんにとってはなかなか厄介な存在と言えるのです。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>


