きれいな胸ビレと、釣り上げると「ぐぅぐぅ」と鳴く独特な声が印象的なホウボウ。外道として扱われることも多い魚だが、実は刺身は上品な甘みがあり、浮袋も珍味として知られる食味抜群の魚だ。そんなホウボウをメインターゲットに専門で狙える船宿があると聞き、今回は神奈川県平塚の庄三郎丸さんにお世話になった。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・津久茂真奈美)
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冬がメインのホウボウ釣り
冬になると、夏場と比べて狙える魚種が一気に減り、特に真冬は釣果が伸び悩むことも多い。「何を釣りに行こうか」と悩む時期だが、そんな中で出会ったのがホウボウ釣りだった。
見た目は華やかで美しく、寒い時期には脂がのって味も格別。さらに数釣りも期待できることから、一度ハマって以来、冬になると毎年恒例の釣行となっている。
ホウボウのシーズンは冬(提供:TSURINEWSライター・津久茂真奈美)庄三郎丸のホウボウ専門船へ
東京湾をメインフィールドとする筆者にとって、ホウボウを本命で狙う船は少し新鮮な存在だ。庄三郎丸は船の数も多く、待合室も広々。多くの釣り人で賑わっており、活気がある。
待合室では定食を頼むこともでき、さらにストーブも設置されていて、極寒の冬には非常にありがたい環境だ。
当日のタックルと仕掛け
タックルは基本的に天秤タチウオ釣りと同じ構成。82調子と73調子、2本の竿を持ち込んだ。水深は20m前後と浅く、使用する錘も30〜40号程度のため、リールは手巻きで十分対応できる。
・ロッド1:SHIMANO LIGHTGAME CI4+ Type 82 HH180
・ロッド2:SHIMANO LIGHTGAME CI4+ Type 73 MH195
・リール:tailwalk VILAYER DG 100-DH/L
船宿専用仕掛け
仕掛けは船宿専用仕掛けを使用した。天秤下に2本針が付いた全長約1m程度のシンプルな構成で、上針にはカブラ、下針にはサバの切り身をチョン掛けにする。視覚と嗅覚、両方でアピールできる組み合わせだ。船宿仕掛けには餌釣り用の1本針仕掛け2セットも売られている。活性が高いときにはかぶらつきの2本針仕掛けがおすすめのようだ。
上の針のかぶら(提供:TSURINEWSライター・津久茂真奈美)ホウボウの釣り方基本
釣り方は天秤タチウオ釣りに非常によく似ている。ただし、中層に棚があるわけではなく、基本は底狙い。着底後、底から2〜3mほどゆっくり誘い上げ、再び底へ落とす動作を繰り返す。
アタリが出たら即アワセが基本。明確にコンコンと食ってくるアタリもあれば、竿先が少し重くなるような“もたれ”程度の違和感しか出ないこともある。エサが小さいため、迷わず即アワセすることが釣果アップのコツだ。
82調子の竿は不発
当日はほぼ無風のベタ凪。体感的にはとてつもなく寒かったが、風がないだけでかなり釣りはしやすい。序盤は掛けアワセを意識し、82調子のやや硬めの竿に錘30号をセットしてスタートした。
しかし、朝イチの流しではルアーへのヒットが目立ち、エサ釣り組は沈黙。嫌な予感が漂う中、数回流し変えたところで中乗りさんから「錘を40号に変えてみたら?」とのアドバイスをもらった。
73調子の竿へ変更
このタイミングで竿も73調子の柔らかめに変更。もたれのアタリをより感じ取りやすくする狙いだ。連日の好釣果に期待して活性が高いようなら硬めの竿であたりを素早く掛けていくつもりだったが、早朝はそううまくもゆかず、細やかなあたりにも対応できるよう竿の調子を変更することに。
錘の号数変更でホウボウ連続ヒット
中乗りさんからのアドバイスをもとに、錘を変えるだけでそんなに変化があるのかと、半信半疑で錘を40号に替えた途端、状況は一変。なんとひと流しで6匹の連続ヒット。中乗りさんの話によると、この日は風がなく、船が横流しの状態になっていたという。
船下にラインが引き込まれる場面では、潮先に仕掛けを素早く届けるために重めの錘で素早く仕掛けが魚の群れに届くように。一方、払い出す流しでは軽めの錘で広く探る。この日は30号と40号を流し変えるごとに使い分けるのが効果的だった。
当日の釣果(提供:TSURINEWSライター・津久茂真奈美)竿変更も奏功
さらに、柔らかい竿に替えたことで、誘い中の小さな“もたれ”にも気づきやすくなった。硬い竿+軽い錘では違和感に気づきにくく、魚に違和感を与えてしまう場面もあったが、73調子なら誘いながらググッと重くなる変化も捉えやすい。水深が浅いため、鋭く合わせればバラシもなく、しっかりフッキングできた。
誘い&アタリの取り方工夫し竿頭
ヒラメ釣りでは横流しが基本で錘を替えながら潮先を狙うことが多いが、今回は偶然にも同じような考え方を応用できた。常に海と船を見ている中乗りさんの的確なアドバイスが、大きな釣果につながったのは間違いない。おかげで竿頭になることができた。
天秤タチウオ釣りと共通点
誘い方やもたれの取り方は、天秤タチウオ釣りと驚くほど共通点が多い。魚種は違っても、釣り方に共通する部分があるのは釣りの面白さだと感じた。また、掛け損じてもすぐに底に仕掛けを落として同じ調子で誘い続ければ追って食いついてくることも多い。
その日の状況に合わせる楽しさ
この日は横流しで払い出しと船下に入り込む状況が分かりやすかったが、風向きや潮流は日によって大きく変わる。だからこそ、その日の状況に合わせて錘や竿、誘い方を工夫しながらヒットするパターンを探していく過程を楽しみたい。
冬のホウボウ釣りはまだまだ始まったばかり。たまにはいつもと違う魚種を狙ってみたい、特に太刀魚釣りが好きな人におすすめのターゲットなのでぜひともおすすめしたい釣りものだ。
ホウボウは美味魚
釣った際にはぜひとも、浮袋を調理して美味しく食していただきたい。
ホウボウの浮袋(提供:TSURINEWSライター・津久茂真奈美)
浮袋も美味しく調理(提供:TSURINEWSライター・津久茂真奈美)
ホウボウの刺身(提供:TSURINEWSライター・津久茂真奈美)<津久茂真奈美/TSURINEWSライター>


