春の瀬戸内を賑わせる釣りはメバルにマダイ。どちらも旬のターゲットだが、今回はサクラ色が美しいマダイをサビキで狙う釣りにスポットライトを当てた。タックルから釣り方の基本まで、入門に必要な情報を沖釣りのエキスパートが解説。ぜひ参考に挑戦してほしい。
サビキマダイ概要
春まだ浅き2月半ばから3月にかけて、瀬戸内東部にどっしりと腰を据える小豆島や明石、鳴門海峡周辺でタイサビキとかサビキマダイと呼ばれているマダイ釣りが面白くなってくる。
タイサビキとは、読んで字のごとくサビキ仕掛けで釣るマダイのことである。ただ、このサビキ釣りにも2種類あって、短いハリスで落とし込んだりシャクリを入れたりしながら釣るチョクリと呼ばれる釣り方と、長めのハリスを使い、スロー巻きで誘いながら食わせるタイサビキがある。
今回は初心者にお勧めしたいタイサビキを紹介してみよう。
サビキマダイのサオ(ロッド)
まず、どんなタックルを用意すればいいのかを解説していこう。
タイサビキはサオの善し悪しに釣果が大きく左右されるだけに慎重に選びたい。一例として挙げるとオモリ負荷は20~30号でサオ先や腰は軟らかめのサオがいい。
先調子で腰が硬いサオは、マダイが擬餌をくわえたとき違和感を持ってよく放してしまうからだ。
タイサビキ専用ザオも少しは市販されているが、手に入れにくいので、他魚種用の市販品の中から選ばなければならない。よく使われているのは瀬戸内仕様のメバルザオだ。
長さは3前後でオモリ負荷30号程度のものを使う人が多い。これは、タイサビキが向こうアワセの釣りなので、食い込みを優先したために軟らかめのサオが好まれるためだ。大きなタイが掛かったときメバルザオで大丈夫?と不安を抱く人もいるが、無理さえしなければ60cm近いマダイが掛かっても取り込むことはできる。
2m前後の短ザオは扱いやすいが、波の高い日など船の揺れをサオで吸収しにくいためサビキ仕掛けも同じように揺れて落ち着かず、食いが落ちるし、食い込みも悪い。仮にうまく食ってくれたとしても擬餌バリが弾かれたり、放されたりしてバラすことが多いというデメリットがある。
リールとライン
リールは、小型の両軸タイプで大型が掛かったときも安心してやり取りができる、ドラグ性能のいいものを選んでおこう。
小型両軸リールにはHG(ハイギア)タイプとPG(パワーギア)タイプがあるが、タイサビキはスロー巻きが基本になるのでHGよりPGがお勧めだ。ギア比は1対5程度のもので、1回転で60cm程度巻けるものが使いやすい。
また、マダイが釣れたタナがひと目で分かるしタナを探るときにも便利なカウンター付きのリールがお勧めだ。
リールには1.5号程度のPEラインを最低100mは巻いておこう。ミチイトの先に4~5号のリーダーを2~3m付けてもいいが、サビキ仕掛けが長いのでミチイトに直結してもかまわない。
手巻きリールではなく小型の電動リールを使う人もいるが、両軸リールに比べて重いから一日中手持ちで釣りをすると疲れやすいし、電動を使わなければ大変というほど釣り場も深くない。
サビキ仕掛け
さて、タイサビキで肝になるのがサビキ仕掛けだ。
これは時期やその日のエサの種類、潮の色や天候、魚の活性など様々な条件によってよく釣れる仕掛けが決まるから、常に何種類かは用意して出かけた方がいい。
仕掛けの全長は6~12mと幅広く、ハリ数も6~8本と多様だ。長い仕掛けは、それだけタナが広く探れるので有利なのだが、扱いが不味いとよく仕掛けを絡ませてしまう。扱いになれるまでは、全長6~8mの少し短めを選んだ方がいい。
ハリス3号で長さは40cm、ミキイトは5号、ハリは小鯛バリ6~7号程度のものが標準で食い渋ったときなどは、もっと細いものも使う。
擬餌バリの皮の色も多彩だが、初期のアミがよく発生する時期はオレンジ系の皮がよく、ノリ養殖がピークを迎えるころは流れてきたノリをよく食べるので緑や黒の皮が交じったものがお勧め。
3月に入ってイカナゴの新子が回遊し始めると、ブルー系の皮がよくなる。このように色んな皮がミックスされた7、8本バリ仕掛けが使いやすいと思う。
磁石付きハリマット
タイサビキは、このような長い仕掛けをいかにして上手にさばくかが決め手になるので、仕掛けを絡ませないための工夫も大切だ。
そこで必ず持参したいのが、磁石がついたハリマットだ。
このマットの上に手繰り上げた仕掛けのハリの部分を並べていくと、少しぐらい風が吹いても風にあおられて仕掛けがもつれる心配はない。
さらに完璧を期するなら、手繰り上げた仕掛け部分を収納しておくプラスチック製のバスケットがあれば万全だ。