伊藤さとしのプライムフィッシング。その日その釣り場で最良の釣りを目指す。1か月をメドに釣り方、エサ紹介などを伊藤の実釣を交えて解説する。今回のテーマは「真冬に浅ダナセット?」。冬に強いと言われる段差の底釣り・チョウチンセットを差し置き浅ダナを選択する。一見不利に見えるが、条件さえクリアすれば速効性を持つこの釣りの長所が生きてくるはずだ。今号は抜きセットはウキから下がハリス?についてだ。
竿の準備
好条件の釣り座を選び道具も置いた。そしてまずはバラケ作り。粒戦に水を浸しておく。これがお約束でしたよね。
となると次は竿の準備ですが何尺を継ぎますか?
「基本は8尺前後、つまり規定最短かな。というのも好条件の釣り座に入れたと言うことは、おそらく水深がある浮き桟橋に入ったはず。であれば魚が多くいるのは桟橋直下だから、できるだけ短い竿がいい。」
並びがすべて8尺だったら?
「打ち返しのリズムに自信が持てないなら9~10尺竿を振ってもいいけど、長くなればなるほどバラケのコントロールが難しくなる。
つまり自分のハリ付け(振り込み)技量との相談ってことになるかな。」
ウキについて
では8尺を継いだとしてウキはどうしますか?
「厳寒期のセットだとバラケを長く上バリに抱えさせる釣りではなくなるから、PCまたは細パイプトップが付いた浅ダナ用小ウキになるよね。」
大きさ(浮力)は?
「取りあえずウキケースに入っている中から最小またはそれに準ずるサイズだね。」
抜きセットってことになるのですか?
「そうなることもあるし、多少でもナジませるほうがいい場合もある。でもスタートは1~2節はナジませるつもりのバラケタッチで始めたほうがいいかもね。」
どうしてそうなるのですか?
「できるなら食わせが漂うであろう周辺にバラケが浮遊していてほしいよね。でもバラケはそこに留まるわけではない。いつかは下に落ちてしまうわけだから、食わせよりも上から降らせる要素もなくてはならない。
だから最初は上からもタナ周辺でもバラケが漂うようなイメージで打ち始める。そしてウキの動きを見ながら、完全に上から抜くのか、それともナジませ気味で釣るのかと調整するわけだよね。」
でもどちらかと言うと抜きの方向ですよね?
「そういう傾向はあるよね。でもただ抜けばアタるなどと安易に考えていてはアタリは出せない。抜くということの意味をもっと理解しないと。」
と言いますと?
「抜きセットの場合、ウキから下がすべてハリスというイメージなんだよね。通常の釣りでもハリスの長さって誰もが調整するよね。でもウキから下がハリスとなると、よりウキの浮力とかハリの比重とか、つまりは重さに関わる部分が重要になる。
つまりは仕掛けのトータルバランスが完成し、かつバラケタッチが合致してようやくアタリが出せるようになる。」
つまりナジませて釣る釣りよりも難しいと?
「難しいとかじゃなくパズルの部品が増えるということかな」
これがもしナジませてアタるなら?
「下ハリスが張り切ってから触ってアタってくるような状況ってことだよね。厳寒期にそういったケースはあまり考えづらいけど、抜きとの対比と考えるならありかな。
だとすれば最重要パーツはハリスの長さ(段差)ってことになるよね。どれだけ魚がバラケから遠巻きになっているか。つまり距離感を重要視すればいいってことになる」
ウキやハリは関係ない?
ウキとかハリとか関係ないと?
「そうは言ってないけど、それでもしアタってくるならむやみにウキを小さくしなくてもいいって話にはなるよね。」
距離感という言葉が出てきましたが、それは抜きだろうとナジませ気味だろうと同じことですよね?
「そうだね。ただ仮に距離感は同じだとするなら、持たせ気味の釣りのほうがハリス段差は広め(下ハリスが伸びる)になるし、抜き気味(ウキから下がハリス)なら、下ハリスの長さはさほど長くなくてもいいということになる。」
ゆえに抜きのセットは下ハリスがあまり長くないのですね。
「そういうこと。そもそも仕掛けがハリスという考えなのだから、ハリスそのものは30cm前後でも十分な時もある。それにあまりに長いとハリスが張らずにアタリにならなかったり、スレが多くなってしまうよね。」
では次号ではバラケについて詳しく聞かせてください。
次回も「真冬でも浅ダナセット?」です。
<週刊へらニュース 伊藤さとし /TSURINEWS編>
友部湯崎湖