イシガツオという言葉をご存じですか?群れの中で数匹に1匹程度の割合で存在する不味いカツオについて解説していきます。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
イシガツオってどんな魚?
もうすぐ戻りガツオの旬がピークを迎えますが、カツオの群れの中には例え旬のピークだとして非常にまずい個体が含まれていると言います。
この美味しくないカツオのことをイシガツオと呼んでいます。
イシガツオの「イシ」で通じるのは中部圏で、地域によってはゴリ・ゴシなどと呼ばれることもあります。
どれくらいの確率で出会うのか
イシガツオに出会う確率でいうと、はっきりとは具体的な数字は出ていません。
カツオの群れのよってその発生頻度は異なり、10匹に1匹程度の場合もあれば、ほとんどがイシガツオの場合もあると言います。
逆にいくら捌いてもイシガツオに当たらないこともあり、発生頻度はその時によって多少変わってくるようです。
どんな味?
気になるイシガツオの味はというと、非常に血生臭く、鉄のような臭いがすると言われています。
さらにこのイシガツオの厄介な点は、イシガツオだからといってすべてが不味いわけではなく、個体によって味に差があるということ。「まるまる一本不味い」ものもいれば、「部位によっては不味い」もの存在するのです。
そして、この不味いカツオの最大の特徴は、味が悪いだけではなく食感も悪く、身が硬くてゴリゴリしているということ。味と食感の両方が悪い、食すのに適していないカツオなのです。
見分け方はあるの?
カツオは鮮度が良い場合、身は赤々としていて触感もモチモチと適度な弾力があります。一方でイシガツオの場合は身に弾力は全くなく、色は白やピンク色、または茶色に近い傾向があります。
また、普通のカツオに比べてかなり鉄臭いと言われており、ある程度の経験があれば、色と匂いで判断できるようになるとは言われています。
ですが、先にも述べた通り不味さにもグラデーションがあるため、優秀な魚屋さんであっても100%見抜くことはできないようです。
カツオを食べるのはギャンブル
カツオはこのイシガツオが存在しているため、鮮魚店やスーパーなどでもほとんど一本まるまるの状態では販売されていません。熟練の職人さんが目や鼻、手などの感覚で除外してくれているからです。
しかし、頑張って除外していても、「身の中心だけが不味い」ようなパターンで除外しきれず混ざってしまうことはどうしてもあります。
なかなか有効な再利用方法もないため、その時は外れだとあきらめるしかありません。
めちゃくちゃ美味しい戻りガツオかイシガツオか。ちょっとしたギャンブルなのです。
<近藤 俊/サカナ研究所>