東京湾で狙うショウサイフグが、人気を集めている。オスに食味のいい「シラコ」が入る時期と重なり、グルメアングラーが増えるのも大きな要因だろう。5月10日(水)、鶴見潮見橋の新明丸へうかがった際も、平日ながら24人の満船。その人気の高さを物語っていた。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関東版APC・田中義博)
新明丸でフグ釣り
しかし、最盛期といえども相手は自然。当日はアタリを出すことが難しい状況となった。その原因は潮流の速さ。そんな状況下、乗船者はどのように釣りを組み立ていたのかを釣り人目線で取材した。
出船前、舵を握る林大地船長に近況を聞くと、「狙っているのは、この時期のメインポイントとなる大貫沖。水深は深くても10m前後で、アンカーを打ってのかかり釣りで狙っています。オモリは10号をベースに、春は潮の動きが大きいことも多いので、20号前後の重いオモリも準備してほしいですね。アタリの数は水温の上昇に合わせて増えてきていますし、皆さんが期待するオスのシラコも状態がよくなっていますから、今日もがんばっていきましょう」と話してくれた。
潮流の速さに合わせてオモリ交換
7時半に出船。ポイントには約1時間で到着、水深8mでアンカリング。「始めてください。潮の流れが少しありそうなので、底で仕掛けが止まる重さに調整してください」のアナウンスでスタート。
私の釣り座は右舷のミヨシ2番。潮はトモ方向へ勢いよく流れ、10号のオモリで潮上へと軽くキャストするものの、着底時にミチイトはトモ方向に流されてしまう。誘いのシャクリを大きく入れると、再び潮の流れに仕掛けが乗って遠くへ移動してしまう。そのため、シャクリの幅を小さくし、アタリを見る待ちの時間も短くする。しかし、10号では海底で仕掛けを安定させることが困難と感じたため、すぐに15号へチェンジ。
誘い後の待ちの時間に多少の余裕ができたことで、アタリが鮮明に見えるようになる。短い時間でもゼロテンションの状態を作れたことで、わずかに出た竿先の変化を見逃さずにアワせると、ズンという手応え。船中1尾目の本命を手にする。
次投もアタったが、ハリ掛かりならず。エサもガッツリと取られてしまい、フグが一枚上手。
本命顔見せ&トラフグも登場
右隣に座る塚本さん(横浜市)も本命をゲット。「仕掛けが安定しないのでむずかしいですが、初めて使う竿で本命の顔が見られてホッとしました」と笑顔を見せる。
さらに、その右隣の井上さん(横浜市)も見事にアタリをとらえる。「20号までオモリを重くして小さな誘いで狙ったら、ようやくアタリを出せました」と、やはり速い潮への対応がカギとなっていたようだ。
一方、右舷ミヨシの清水さんは、スピニングリールでキャストして広範囲に探る釣り方。オモリ着底後は小さく鋭いシャクリで誘い、止めの間も短め。そのフォール中に出た大きめのアタリを見事にハリ掛かりさせ、トルクのある引きをいなしながらキャッチしたのはトラフグ。「ちょっと小さいけれどうれしい1尾ですね」と話すものの、側面の大きな斑紋は威風堂々としたもの。