ネットでたびたび話題になる「スク水揚げ」というワード。「スク」とはとある魚の稚魚のことなのですが、それがなにかご存知でしょうか。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
沖縄の「スク」シーズンイン
旧暦の6月1日、新暦でいうと2022年は6月29日にあたるのですが、毎年この日になると沖縄県の漁師たちが浜辺に出てとある魚を探して回ります。その魚とは「スク」。
スクは体長5cmほどの小さな魚で、旧暦6、7、8月1日頃の大潮の日に大挙して浅瀬に押し寄せる習性があります。
沖縄では大変に人気のある食用魚で、スクの大きな群れに当たることができればまさに漁師にとってボーナス。しかし年によるあたりはずれも大きく、不漁に終わってしまうことも多々あるそうです。
水揚げされたスクは生で食べられる他、塩漬けである「スクガラス」に加工され、本土でも発売されることがあります。
ネットで人気の用語「スク水揚げ」とは
さて、そんなスク漁が行われるこの時期、沖縄の各メディアの見出しに並び、インターネットの注目を集める文字列があります。それは「スク水揚げ」。
これはもちろん文字通り「スクが水揚げされた」というニュースにほかならないわけですが、しかしスクという言葉が一般的でない本土の人からすると、ぱっと見、言葉の切りどころがわかりません。
その結果、学校の制水着である「スクール水着」の省略語「スク水」を連想する人が多く出てしまい「スク水の揚げ物?」などの誤解を招き、違った意味で話題となってしまうのです。
この事例は、国語学で言うところの「ぎなた読み(『弁慶が、薙刀を振り回し』という文章を『弁慶がな、ぎなたを振り回し』と呼んでしまった例から名付けられた)」の代表例のひとつとされています。