釣りの好ターゲットであるメジナ。グレ・クロや、オナガ・クチブトなど、様々な呼び名があるサカナです。今回はその生態や特徴、種類の見分け方などを紹介しましょう。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
身近なサカナ「メジナ」
メジナは【スズキ目スズキ亜目イスズミ科メジナ亜科メジナ属】に分類される海水魚です。
釣り人からは「グレ」や「クロ」など様々な名前で呼ばれており、堤防や磯などいろいろなところで見かけることのある身近なサカナです。
見た目は黒く、一見タイを彷彿とさせるようなシルエットをしており、大型なものは70cmを超えることもあります。引き味も強くて面白いことから、釣りの好ターゲットになっています。
日本のメジナは3種
日本には「メジナ」「クロメジナ」「オキナメジナ」の3種存在していますが、世界中には上記を含む15種のメジナが確認されており、オーストラリアと南米にメジナの仲間が多く生息しています。
日本で確認されている3種のメジナは魚体が似ており、地方によって様々な呼び名があるため、見分けるのが非常に難しいです。
地方名が多様
続いて、メジナの地方名についてみていきましょう。ひょっとするとメジナは、日本で一番地方名の多いサカナかもしれません。
「メジナ」と言えばどこでも通じるかと思いますが、他にヒコヤ、チカイ(北陸)、クチブト(関西)、グレ(中部・関西)、クロアイ(山陰)、クロ(下関・九州各地)、クシロ(伊豆)、ツカヤ(丹後)、クレウオ(枕崎)、クロヤ(舞鶴・山口)、シツオ(鹿児島)……など、細かいところまで名前を上げたらキリがないほど名前が多くあります。
名前だけ見たら、同じ魚とは思えないかもしれませんね。
釣りで耳にする「クチブト」と「オナガ」
上記の地方名の他に、釣り人の間でメジナを見た目の特徴から2つの名前で呼ぶことがあります。それが「クチブト」と「オナガ」です。これらの2つは見た目の特徴を使った呼び名で、「クチブト=メジナ」で「オナガ=クロメジナ」を指しています。
見分け方
メジナ(クチブト)は鱗の付け根に黒い斑点があります。さらに、「クチブト」と言われるように、唇は分厚く、尾びれの後縁の切れ込みが浅いのが大きな特徴でしょう。
一方で、クロメジナ(オナガ)はその名前の通り、尾部が長く、尾びれの後縁の切り込みが深くなっています。また、メジナに比べてえらぶたの後縁が黒くなっています。鱗の大きさも細かく黒い斑点はありません。
生息域の違い
クロメジナは相模湾以南に分布しており、メジナに比べて外洋を好むことが知られています。成長するにつれて、黒潮の流れが効く日本南部の荒磯を好む傾向があるため、磯釣りをする人にとっては「オナガ」の方が比較的価値が高いサカナと言えるのではないでしょうか。
もう一種の「オキナメジナ」
日本に存在するもう一種の「オキナメジナ」は、他の2種に比べて簡単に見分けることができます。違いは一目瞭然。えらぶたの全面が鱗に覆われていることが特徴です。
しかし、成魚の上唇は著しく厚いことも特徴の1つであるため、唇の太さだけでクチブトと判断しないよう注意が必要です。
メジナの食性・産卵期
どの種のメジナも雑食性で食欲旺盛なサカナ。季節によって食べるものも変化します。夏は小エビなどの甲殻類の小動物を、冬は岩の表面に生える海藻を好んで食す傾向があり、釣り場によってはメジナはエサ取りとして扱われることもあるようです。メジナが本命魚ではない場合、この食性が厄介になってしまうこともあるようですね。
メジナの産卵期ははっきりとはわかっていませんが、2~8月ころまでだと考えられています。日本北部は産卵が遅い傾向があり、クロメジナの産卵は全体的に約3ヶ月ほど早くずれ込んでいるようです。1回の産卵で約30~40万の卵を産む為、初夏には堤防で小さなメジナの群れを見ることができるでしょう。
メジナは生後1年で10~15cmほどに成長します。最大で10年前後生きると言われており、そのころになると60cmを超えるほどまで大きくなると言われています。