夜の大物投げ釣りについてのノウハウを、魚種別のポイントの選び方、仕掛けやエサ、釣り方の順に解説する。ぜひとも夜の投げ釣りにチャレンジしていただきたい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 長谷川靖之)
『夜の投げ釣り』は大物狙い
投げ釣りというと真っ先に思い浮かぶ対象魚はシロギス、カレイである。いずれの魚種も近郊の砂浜や波止で手軽に狙うことができるのでファンは多い。これらの魚種は普通昼間に狙う場合が多いと思うが、夜に投げ釣りをすると思わぬ大物に出会う確率が高まることを知っている人は意外と少ないかもしれない。
私たちのような投げ釣りを専門にしている釣り人は、これからの季節投げ釣りといえば夜の間に狙うクロダイ、マダイ、ニベ(イシモチ)、マゴチ、スズキ、アコウ(キジハタ)、コロダイ、ヘダイ、ハマフエフキを本命に各地を飛び回る。普段、船釣りでしか釣れないようなサイズの魚が、夜になるとエサを求めて浅場を回遊したり、河口域に入ってくるので、投げ釣りの射程圏に入るというわけである。
魚種別ポイントの選び方
ターゲット別でポイントの選び方を解説しよう。
クロダイ・スズキ編
塩分濃度が低い海域を好むので、クロダイやスズキは夜になると外洋から河口域に入り、積極的にエサを追い求める。大きな川の両岸の河口域が主なポイントになるが、すぐ手前のカケアガリ付近を回遊してくることもあるので、遠投にはこだわらず手前にも仕掛けを置くように心がけたい。
このときに注意しなければならないのは、軽いオモリを使って着水音を軽減することと、ヘッドライトの明かりを海側にできるだけ向けないことだ。大型ほど警戒心が強いので、できるだけ人の気配を消して、静かに待ち構えることも大切である。
中部地方でクロダイ、スズキが狙える釣り場は三重県熊野市の熊野川河口や揖斐川河口などが有名である。
マダイ編
夜の投げ釣りでマダイが釣れるポイントは、外洋に面した水深の比較的深い湾内である。「こんな所で?」と思われるような場所でも、水深があって潮通しが良ければマダイの回遊路になっている可能性がある。マダイは数匹が群れで回遊しているので、最初のアタリが出れば、その後30分~1時間以内に次のアタリが出るケースが非常に多い。
中部地方でマダイが狙える釣り場は、三重県・紀北町の引本湾や尾鷲市の須賀利、九鬼の湾奥などが狙いめである。これらのポイントはリアス式海岸になっており、少し投げると水深が20mを超えるような深場で、大物が釣れそうな雰囲気の漂うエリアである。過去に70cmを超えるような大物が何匹も仕留められている。
コロダイ・ヘダイ・ハマフエフキ編
これらの魚は「磯モノ」と呼ばれ、磯に着く魚である。主に外洋に面したシモリのあるサーフ、磯場、波止などがポイントになる。日中は人が歩けるような水深1mもないような浅場にも、夜になるとこれらの魚が回遊してくる。三重県熊野市の七里御浜、和歌山県・御浜町王子が浜、串本町の九龍島などが狙いめである。
注意点
磯モノは最初のアタリが強烈で、サオ尻にロープを通して固定させておかないと、サオとリールがミサイルのように飛んで行ってしまう。これは大げさに書いているのではなく、私の釣友は何人も高価なサオとリールを失っている。エサを加えた魚が一気に磯に向かって突進するからである。
なお、外洋に面したこれらのポイントはサーフとはいえ、台風や低気圧の接近でウネリを伴うと大きな波が打ち寄せてくるので、安全面に配慮しナギの日を選んで釣行するようにしたい。逆にそんなときには、外洋を避けてマダイやクロダイ、スズキが湾の中にとどまる可能性があるので、積極的に狙ってみたいタイミングだ。