数年前のブームで、一気に知名度を上げたアカムツ。その身は上品な脂とうま味にあふれ、40cm前後以上のサイズになると、キロ当たり数千~1万円の値がつく超高級魚だ。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 編集部)
大進丸船長に聞くアカムツ釣り
テニスプレイヤー錦織圭さんの「ノドグロ(アカムツの地方名)が食べたい」というコメントで、広くその名が知られることになったのは周知の通り。
神秘的なアカムツだが、数年前までは静岡県か三重県の特定のエリアに行かないと狙うことができなかった。しかし、今では中京圏から近い南知多出船で楽しめるようになった。
南知多出船のアカムツ釣りの立て役者のひとりが、今回のレポートに協力してくれた愛知県・南知多町豊浜漁港から出船している大進丸の相川船長。今回、同船長に当地のアカムツ釣りについて聞いた。
試行錯誤と地道な努力
同船がアカムツ釣りを始めたのは4年前。当初は、ほとんど情報もないなか、まさに手探りの調査で始まった。まず、先行してアカムツ釣りが行われていた静岡県や関東の釣りを参考に、試行錯誤を始めたが、海域が違えば海底の地形、潮流はもちろん、同じアカムツながら習性も異なることが分かった。
すなわち、ポイントの見つけ方やこれを攻略するための操船、有効な仕掛けも「先行地域のやり方にならえばよし」というわけにもいかず、トライ&エラーを繰り返しながら、同船ならではの攻略法を編み出していったという。
また、相手が沿岸の魚なら情報収集もしやすいが、アカムツははるか沖の住人。生息海域へ行くだけでも、船の燃料が何十リットルも消費されるため、おいそれとポイント開拓に行くのも難しい。そこで、手持ちの情報以外にも、同じく沖合の水深200~300mラインを釣り場とするスルメイカ便で出船した際などに、目ぼしい場所を見つけては、事後に実釣を行うなどして開拓を進めたという。まさに「ローマは一日にしてならず」だ。こうして、データの蓄積も進み、ゲームとして確立していった。
それでも毎シーズン、ポイントやパターンなど、新たな発見が続いているとのこと。相川船長自身も「毎回が勉強の機会」と常に謙虚な気持ちで、出船に臨んでいるとのことだ。
高級魚アカムツを狙う
そんなアカムツ釣りについて、以下に紹介していく。この釣りは、パワーのあるタックルで重いオモリを背負い、外洋の速い潮を貫いて魚にアプローチしていくため、一見大ざっぱな釣りと思いそうだが、そのゲーム性は精密そのものだ。
イメージ的には、船長と釣り人が一体となり、300m以上先のスポットに集まっている魚を、スナイパーのごとく狙い撃っていく釣りとなる。そのため、「これでいいや」は通用しない。
船が推奨しているオモリやミチイトの設定を守り、船長が唱えるタイミングに合わせて仕掛けを投入していくことが重要だ。そこで、まずはアプローチの上で最も大切なオモリやミチイトについて解説していく。