『アニサキス』にも種類があった 危険なのは太平洋側と日本海側どちら?

『アニサキス』にも種類があった 危険なのは太平洋側と日本海側どちら?

日本の食卓に欠かせないサバですが、生食は危険だとされる地域と刺身が珍重される地域があります。これは実は、寄生虫界の大御所『アニサキス』の差によるものだと言われています。

(アイキャッチ画像提供:野食ハンマープライス)

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サバ食によるアニサキス症対策

基本的な対策としては、調理時にチェックをして取り除くというものがあります。アニサキスの幼虫は目視確認が容易な大きさで、刺身やしめ鯖を作るときに見つけて取り除くということが可能です。

『アニサキス』にも種類があった 危険なのは太平洋側と日本海側どちら?アニサキスは目視可能(提供:野食ハンマープライス)

また、身体に傷がつくと死ぬので、薄めに切ったり飾り包丁を入れることでも発症リスクを下げることができます。(なお、これに伴い「喫食時によく噛むことでアニサキスを殺虫できる」という言説がありますが、彼らは非常に弾力があるため噛み殺すのは困難です)

そして何よりも大切なのは鮮度保持。アニサキスが筋肉に移行するのを防ぐと同時に、サバの筋肉内に含まれる「ヒスチジン」という成分がアレルギー物質である「ヒスタミン」に変容するのを防いで、生食に関わるリスクを大きく下げることができます。

釣り物はしっかりと海水氷漬けにして0℃近い状態を保つこと、鮮魚店で購入するときは信頼できる店舗を選ぶのが重要です。

食中毒が怖くても、刺身やしめサバの魅力に抗うことは難しいと思います。正しい知識を持ち、闇雲に恐れないで正しい調理を行うことが、安全への最良の手段となるでしょう。

参照元:内藤博敬(静岡県立大学食品栄養科学部環境生命科学科/大学院食品栄養環境科学研究院、助教)著 『アニサキス』(ドクターズプラザ2017年7月号掲載、刊行元:株式会社ドクターズプラザ)

<脇本 哲朗/サカナ研究所>