先日、帰港中の遊漁船が防波堤に衝突する事故が起きました。できれば起きてほしくない事故ですが、船の事故処理の流れが自動車とは全く異なることを皆さんはご存じですか?今回は、船舶と車の免許の違いを比較しながら紹介していきます。
(アイキャッチ画像出展:PhotoAC)
罰則について
車と違い反則金ではなく、ほとんどの違反が罰金か懲役で刑事罰にあたり、もし違反してしまうと前科がつく可能性が大きくなります。
車の場合
無免許運転
車の場合は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に加え、違反点数が25点で免許取り消しと欠格期間が最低2年。また、無免許と知っていて貸す場合も同じ処分を受けます。
免許証不携帯
車の場合は、3000円の反則金のみが科せられます。
定員超過
車の場合は、6000円の反則金と違反点数が1点がつけられます。
シートベルト
車の場合は違反点数が1点で反則金はありません。
船の場合
無免許運転
30万円以下の罰金のみ。船の所有者が貸し出し相手を無免許と知ったうえで貸した場合、所有者に6月以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられます。
免許証不携帯
船の場合は、10万円以下の過料が科せられます。
定員超過
船の場合は1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
ライフジャケット
船にシートベルトはありませんが、そのかわりにライフジャケット着用が原則ルールです。違反した場合は違反点数2点のみになります。
事故の場合は?
車の事故だと警察が事故現場に来て処理をしますが、船の場合は管轄の海上保安部が対応します。また、処分を決めるのは裁判所での判決ではなく、国土交通省の運輸安全委員会が行う海難審判になります。
刑事裁判と海難審判の違い
この審判を行うのは、事故の原因を究明し海難事故の再発防止に努めるためで、裁判と違い刑罰や損害賠償などはなく、処分は戒告、対象者の1ヵ月以上3年以下の業務停止、免許取り消しの3つに分かれます。
刑事裁判にかけられることも
遊漁船などほかの人を乗せているときに事故を起こしてケガや死亡した場合は、業務上過失致傷(死)罪に問われたり、取り調べ時に往来の危険を生じさせる行為が発覚した場合、往来を妨害する罪などに問われたりして刑事裁判を海難審判とは別で行うことがあります。