2020年1月10日、ヘラブナが滅びゆく湖『瓜田ダム』で野釣りを堪能した。放流も無く魚影の薄い冬のダム湖で日に1度有るか無いかの一瞬に賭ける浪漫を追う釣りだが、価値ある2枚を手中に出来た。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・楢﨑 人生)
瓜田ダムの概要
瓜田ダムは、1998年に作られた治水用小規模ダムだ。マブナ、ヘラブナ、コイ、ブラックバス、オイカワをはじめ、サワガニやモクズガニ、タニシ等の貝類、その他多くの水生生物が生息している。またダム湖周辺には、昆虫、タヌキ、イタチ、イノシシなども多い野生の王国だ。注意すべきはマダニ、マムシの被害が多い場所なので、肌の露出は最小限に抑える事をオススメする。ヘラブナはダム完成後に移流された。かつては束釣りも可能であったそうだが、20年を経た現在その面影は欠片も無い。
タックルとエサの配合
釣行日前に最大瞬間風速26m/sという台風並みの暴風に見舞われ、当初釣り座を構えようとしていた本流筋の瓜田川は場荒れしており、風の影響が少なかったであろう深場をチョウチンウドンセットで狙うことに。長竿の基準は21尺、24尺、27尺。今回は24尺で1日通した。
【エサの配合】
・凄麩 600cc
・天々 200cc
・バラケマッハ 200cc
・粘力 付属のスプーンですりきり1杯
以上をよく攪拌(かくはん)し、水200ccを加える。熊手で混ぜた後、エサが馴染むまで数分待つ。クワセは力玉シリーズを状況に応じて使う
ここで重要な点は、バラケはダンゴを作るつもりで作る事。水深7mまで持たせタナで開かせるエサに仕上げる。また水深が深いほど水圧がかかり、エサの開きに影響を及ぼすので、ウキの馴染みでエサの状況を把握しつつ、手水と練りでその日のベストとなるバランスを見付けよう。
冬の野釣りは一魚一会
ヘラブナは水温の低下とともに摂餌行動も回遊も減ってくる。盛期と比べればその差は歴然だ。だからこそ貴重な1枚を逃さぬように丁寧なエサ打ちを繰り返し、泡づけやわずかなウキの変化も見逃さない集中力が必要だ。と自分に言い聞かせながら気付けば夕マヅメ。いよいよ湖のゴールデンタイムが迫ってきた。
泡づけと触りはあるも喰いアタリ来ず
時は来た。ジャミとは異なる大きなストロークの触り。ウキの周辺に湧く泡づけ。ヘラの群れが回遊してきた。この触りと泡づけなら数も型も期待が持てる。後は喰いアタリを待つばかりだ。
チャンスは1度でいい。逸る心を抑えつつ丹念に打ち返し、ハリスを調整し、下針のエサを数種類試し、明確な喰いアタリが出るように探る。
ところがである。触りと泡づけは絶えないものの、肝心の喰いアタリが出ない。まず思い付くのはタナ違い。それも上ずりだろうと予想。当日使用したエサの中には、粉砕した麩以外に大きめで浮力の高い粒が含まれており、その粒の上昇と共にヘラブナのタナも浅くなる事がある。
徐々にウキ下を浅くしていくがそれが裏目に出た。ウキへの反応が無くなってしまったのだ。ウキの位置とハリスの長さを全て基準値に戻すと再び反応はあるがやはり喰いアタリは出ない。迫る日没。残りのエサは3投分。勝負の時だ。