繊細なロッドと極細PEラインで、微妙なアタリを捉えて掛けアワせるツツイカのメタルスッテゲーム。夏の日本海でマイカ(スルメイカ)を狙うことが多いが、近年注目を集めているのが冬の熊野灘だ。今回は夏に負けない冬のメタルスッテゲームを紹介したい。
攻略法
熊野灘沿岸でのメタルスッテだが、日本海に比べて平均的に水深は浅い。
浅ければ30m未満、深くても50mまでだ。
そのため活性が低い場合、狭いレンジでしかヒットしないことが多い。
低活性時は、日本海よりもレンジコントロールがシビアだと考えよう。
日本海では深場だとパラシュートアンカーを入れることもあるが、熊野灘では浅いのでアンカリングが基本。
岩礁帯にアンカーを入れることがあるので、根掛かりには注意したい。
ポイントに到着して船長から合図が出れば、スッテを投入しボトム(底)まで落とす。
根掛かりしないよう、素早くボトムを切ったらアクションを入れて誘っていく。
【バリエーション豊富な誘い方】
誘い方はさまざま。
ジギングのように(1)細かくショートピッチでシャクり上げ、ピタッと止める。
あるいは(2)その場でシェイク。
他にリールを巻かない誘いとして、(3)ティップを水面まで下げた状態で素早く目線の高さまで振り上げてステイ、5秒ほどしてから頭上まで振り上げてステイ。
そして、一気にティップを水面近くまで下げ、フリーフォールさせる。
この振り上げピッチの幅をもう少し短くして、3段階、4段階で振り上げてもいい。
下から誘い上げるパターンの他、(4)上から誘い下げるパターンも有効。
ジギングと違い、同じレンジで誘い続けることも有効なので、バリエーション豊かなアクションが存在する。
【さまざまなアタリの出方】
アタリの出方もさまざまだ。
これぞメタルスッテ!というのは(1)スッテの重みで曲がっているティップからフッとテンションが抜け、水平に戻るパターンだ。
これはスッテにイカが抱きつき、持ち上げるのでテンションが抜けてティップが戻るのだ。
ティップランでいう「戻りのアタリ」と同じ理屈だ。
他に(2)ティップをグッと押さえ込むアタリ、(3)いきなりひったくっていくアタリ、(4)フワフワ上下に揺れるようなアタリなど。
波の動きとは違うイレギュラーな感じがあれば、すかさずアワせていこう。
大アワセは必要なく、軽く鋭く持ち上げるだけでOK。
大アワセは身切れの原因になる。
しばらくしてアタリがなければ、回収して必ずスッテをチェックすること。
ゲソやヌメリがついていないか確認しよう。
なぜかゲソがついたスッテは反応が悪くなる。
というより全く触らなくなるので、注意したい。
3種のイカを釣り分けてみよう
前述したが、冬の熊野灘のメタルスッテでは、アカイカ、ヤリイカ、スルメイカの3種を狙うことができる。
では、この3種のイカの釣り分けは可能なのだろうか。
結論からいえば、ある程度は可能だ。
生き物相手なので百発百中は難しいが、探るレンジとアクションで狙い撃ちすることはできる。
【ヤリイカ】
まずヤリイカ。
こいつはボトム付近に定位していることが多く、あまりスッテを上げ過ぎないようにすること。
上げても10mまでにしておく。
また、アクションはおとなしめがいい。
ステイ中に乗ってくることも多く、置きザオにしていたら乗っていたなんてことも多い。
【スルメイカ】
次にスルメだが、こいつは中層~上層を泳ぎ回っていることが多い。
ベイトが浮けば、それについて水面付近を泳ぎ回る姿が見られることも。
3種のイカの中で最も魚食性が強く、青物のようにベイトを追い回して捕食する。
したがってアクションも比較的速めの誘いが効く。
ジギングのように速くシャクり上げ、ピタッと止めると、いきなりガツンとひったくっていく。
引きも強く2匹掛かればとんでもない重さだ。
2匹掛けの場合は決してロッドで抜き上げようとせず、リーダーを手でつかんでそろっと抜き上げよう。
【アカイカ】
最後にアカイカだが、こいつのレンジは常に不安定。
スルメのように水面まで浮くこともあれば、ボトムから全く浮かないこともある。
どのレンジでヒットしたか、同船者で情報を共有し、ヒットレンジをいち早く見つけだすことが、アカイカを狙い撃ちする近道といえる。
ヤクルトのようなひと口サイズの小型から、ペットボトルのような良型まで狙えるが、最もおいしく食味の評価が高い。
アクションは比較的スローな誘いに反応がいい傾向がある。
最後に
まず冬の夜釣りということで、防寒対策は必須だ。
海の上は皆さんが思っている以上に冷え込む。
防寒着はもちろんだが、ヒートテックなどのインナーやニット帽など頭部の防寒にも気を使いたい。
もちろんライフジャケットの着用は必須だ。
他にイカと同じポイントでアジが狙えることもある。
ボートアジング用のワームやジグヘッド、キャロシンカーなどを用意してもいいだろう。
<週刊つりニュース中部版 編集部/TSURINEWS編>